日本と海外の医療の違い

椎間板ヘルニアの治療に脳外科医?

"脳神経外科医がなぜ椎間板ヘルニアの治療をするのか?"という質問をよく聞きます。

ただ、これは非常に日本的な観点での疑問です。 実はいわゆる背骨といわれる「脊椎」の治療は現在、脳神経外科、整形外科の何れの科でも行われているのが日本の現状です。どちらも脊椎・脊髄に関わる学会を持ち、それぞれに研究・発展を推し進めています。

そもそも椎間板ヘルニアによって発生する症状の多くは脊髄神経に対する圧迫などによって起こるものです。したがってその原因を究明・診断する段階で登場するのは当然我々”神経を診る医者(神経外科医/神経内科医)”になります。

事実、世界的観点からすれば椎間板ヘルニアを含む脊髄・脊椎疾患の診療を専門分野として担うのは多くの国で(脳)神経外科医です。アメリカなどでは脳神経外科医が行う手術の70~80%が脊髄・脊椎関連疾患ですし、ヨーロッパにおいても同様もしくはそれ以上の割合で神経外科医が治療を担当している国もあります。

“脳”神経外科という科名はおそらく日本固有のものであろうと思われますが、このために、脳神経外科は”脳”のみを診る科だと誤解されてしまっています。そのせいなのか日本では脳神経外科医が診る疾患が脳関連疾患にかなり偏る傾向があるのも事実です。

もちろん絶対とは言えませんが、症状を見極める、治療の適応を見極めるということに関しては神経を専門とする私たちに優位性があると自信を持って言えます。
事実、診療において、かなり適当でいい加減な診断結果を持って来院される多くの方々を診るにつけ、現在の日本の診療体制に疑問と責任を感じています。

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