【動画解説】「遺伝子治療 CDC6 RNAiが選ばれる理由」
【動画情報】
テーマ:遺伝子治療 / RNA干渉 が選ばれる理由時間:29分27秒
公開日:2021年2月10日
講演者:北青山D.CLINIC 院長 阿保義久(医師)
【全文】
はじめに
みなさんこんばんは。北青山Dクリニック院長の阿保義久と申します。今回は当院で提供させていただいている遺伝子治療、RNA干渉という遺伝子治療についてご案内させていただきたいと思います。
他の『尊厳あるがん治療①~⑥』という動画のシリーズでしっかり詳しくご説明しているんですけれども、全体像を捉えられるように今回十数分ぐらいの時間でご説明できればと思っておりますので、お付き合いください。宜しくお願い致します。
まず、この遺伝子治療というのは、未承認治療なんですね。一般的に行われている標準治療ではなくて、未承認の治療ということになります。このような治療を私たちが提供しだした背景・経緯に関してまずお話させていただきます。
導入背景
私は、もともと大学病院を皮切りにですね、外科医として胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、乳がん、肺がん、食道がん、そういう風ながんの手術を担当する医師としてスキルを研鑽してまいりました。機能病院でがん治療というのを対応させて頂いている中で、がん治療は早期で発見できれば、しっかりとした手術で根治ができ、かつその後に日常生活に復することができるわけですけれども、残念ながらがん治療がどんどん進化しているにも関わらず進行がんで発見され、もしくは治療しても再発して命を救うことができないような患者さん方というのも数多く管理させていただく経験も持ちました。がん治療にあたって、やはりがんの治療は早期に発見するということは非常に大切だということから、2000年に事情があって開業したわけですけれども、その開業後はがんの早期発見や予防という事に注力をして現在まで至っております。その中で進行がんに関しても何か役に立つような医療行為を提供することができないかということをずっと考えてきていたわけです。
CDC6RNAi治療 導入経緯
そのような中で2006年から少し経ったぐらいの時にですね。がんの末期の方々や進行がんの方々が、海外で遺伝子治療というのを受けていて、それによって日本ではもう治療ができないと言われていたのに症状が改善して、また日常生活に復することができるようになったと。ただその治療も継続しなければいけないので、毎回海外に行くわけにはいかないから、国内で治療していただけませんかという打診があったんですね。
それに対して我々の方でも、なにかお力になれることができないかと検討したわけですけれども、ただなにぶん未承認治療で、確立された治療でないということから、本当にその治療がまず安全に提供できるかどうかということ、あと有効であるかどうかということを検討する必要があったわけですね。
進行/再発がんに対する抗がん剤治療
ただ一方でそのようながん患者さんの治療というのは、今、国内もしくは世界的にも標準治療としては化学療法が主だったわけですけれども、化学療法はファーストライン、セカンドライン、サードラインというプロトコールがある程度決まっていて副作用が強すぎる、もしくは治療効果が見込めない、もしくは化学療法製剤の毒性が蓄積されたためにこれ以上治療継続できないというような状況になった場合には、新しい治療プロトコールに変わっていくラインがあるわけですが、それが最終的なところまで尽きてしまうと、BSCという残念ながら積極的な治療ができないステージ陥ると。 そういう形式的な治療プランに立脚しているという背景があったんですね。患者さんたちの中にはその化学療法は残念ながらもう延命治療ではないということもよく理解されていて、ただ一方ではなかなかその治療に満足できずに何らかのさらに新しい治療とか、病気を乗り越えられる治療はないかということを常に検討されるという背景もあったわけです。
CDC6RNAi治療 導入経緯
そのようなことを受けて、その打診のあった患者さんたちが今行っているという遺伝子治療に関して、われわれも情報収集したわけですね。その治療は2001年南カリフォルニア大学でDr.Luo Fengという分子生物学者と木村清子さんという日本人がバックアップして開発したという治療だったんですけれども、それによって例えば日本のがんの機能病院で治療法がないと宣告を受けた方々、ただまだ日常生活も普通に送られていて問題なくお仕事もされているような状況だったものですから、何らかの有効性のある治療を打診されてその治療を享受されていた方々が、先ほど申しましたように、こちらで治療を受けたいというふうにいらっしゃったんですね。
スキルス胃がん 55歳男性 改善例
実際にその遺伝子治療を受けることによって症状の改善がどのように認められたかということを我々としても、情報をしっかり確認させていただいたところ、当初はちょっと信じがたかったんですけれども、進行胃がんの方がほとんど症状が消えてしまったとか、あとは咽頭がんの方がもう放射線治療や化学療法をやり尽くしてしまってもう治療ができないという状況で、腫瘍が首の周りで大きくなって呼吸苦や食べ物を食べられない嚥下障害が起きていたにも関わらず、この遺伝子治療によってそれらが回復したというようなケースを目の当たりにして
CDC6RNAi治療 導入経緯
私たちもその治療を継続することに関しては、「他にも治療法がないという日本人の患者さんたちが国内で今までやってきた治療を安全に継続したい」という思いに応えてあげるということは医療倫理に劣るものではないのではないかと、そのように判断して治療に着手したとそういう背景があります。
結果としては、治療がうまくいってですね、その後患者さんたちからもご紹介などで今に至って治療を継続しているわけですけれども、今までやはりすべてのそういう進行がんや末期がんの患者さんたちを救命できたかというとそれは残念ながらそのように単純が簡単なものではなくて、何度も辛い患者さんとの別れというのを我々も経験せざるを得ないということがありました。ただ一方で、後でお話しできるかもしれませんが、患者さん方のご家族やそのご本人も、最後状況が悪化する中でもこの治療ぜひ継続して引き続き悩まれる患者さんたちに提供してくださいと言う声を頂いたものですから、我々もその言葉に勇気付けられて、現在までこの治療を継続しているという状況です。
治療メカニズム
この治療は、ちょっと難しい話になりますが、RNA干渉という治療メカニズムをバックグランドに置いてあります。RNA干渉というのが遺伝子を技術の中でもこれまた一つの特徴的なもので、遺伝子というのは皆さん最近は良く耳にされるかもしれませんが、生理活性を担うタンパクの設計図とも言えるんですね。細胞の中にある核の中に遺伝子が組み込まれているわけですけれども、その遺伝子の情報をRNAなどの周辺の分子がそのメッセージを受け取るような形で、タンパクをアミノ酸を集めて作っていくという、簡単にいうとそういうメカニズムがあります。その遺伝子から情報をmessenger RNA(mRNA)というものが転写を受けて、それをその情報からアミノ酸を集めてきて、それは翻訳と呼ぶんですけど、タンパク質を作るというような流れになっているんですね。このような遺伝子メカニズの中でがんに特異的なタンパクというものが同定されまして、そのタンパクを作る、遺伝子システムの中でその担当のmessenger RNAを壊すことができれば、そのターゲットタンパクが消せるんじゃないかという発想だったんですね。 それによって、がんの無限増殖能ですとか、他の組織に浸潤転移していくそういう行為を止めることができるのではないかという発想だったんです。
RNA干渉
このRNA干渉というのは、細胞の核の中にあるmessenger RNAをターゲットにするわけですけれども、そのmessenger RNAに対して反応する細いRNAを、ちょっと話は複雑ですが、messenger RNAに対して反応する本当にマイクロなRNAというのを核の中に送り込むわけですけれども、その時にそれを送り込む運び屋としてレンチウイルスベクターというのを使っています。ベクターというのはその運び屋という意味ですが、いろいろなものがあります。ただこのウィルスは核の中にしっかりと効率よく侵入していくという力があるものですから、それを利用してこのマイクロRNAをターゲットとなるmessenger RNAに送り込むと。ウィルスなのでもちろんこれは体の中で増殖してしまってはいけませんから、その病原性、再生性を除去して、特殊な処理を施した上で、所望のRNA遺伝子をしっかりとターゲットに送り込む能力だけを残した形で使用しているという背景があります。レンチウイルスベクターというのは色々なウイルスベクターの中でも挿入効率も良いですし安定度も高いということで今さまざまな医療行為には応用されているぺクターになります。それを用いて今我々はこの治療を行っています。
主たる治療ターゲット CDC6タンパク
本質的なその治療のターゲットというのは CDC6タンパクと呼ばれるもので、これは細胞周期の調節因子の一つが、これもちょっと難しい話ですが、正常細胞であれがん細胞であれ、細胞分裂をする時に周期があるんですね。細胞が1個から2個、2個から4個と増えていくときに4段階の周期がありまして
細胞周期
その4段階の周期の中で、よくG1とかS、G2、Mと略される細胞周期のタームがあるわけですけれども、その細胞周期の回転を司る、最初にその細胞分裂させる、号令をかけるというか細胞分裂を変えさせるタンパクということでCDC6タンパクというのが注目されています。
主たる治療ターゲット CDC6タンパク
がん細胞はこのCDC6タンパクが溢れんばかり作られておりまして、もう制御不能な状態でたくさん大量に発生しているということがわかったものですから、このCDC6タンパクっていうのをRNA干渉という特殊の遺伝子治療技術で消去することができれば、そのがん細胞の動きが止まるのではないかと、動きが止まるだけではなくてうまくいけばそのがん細胞が自己消去というモードに入ってくれる可能性があるということがこの治療の画期的なところです。
細胞周期エンジンを構成する分子群
細胞周期エンジンといってその細胞分裂するときにG1、S、G2、Mというところを、ぐるぐるぐるぐる細胞分裂が回っていくわけですけれども、その細胞エンジンを構成する分子はたくさんあります。がん治療というのは、分子標的薬といってそのがんに関わる細胞活動ですね、分子活動のターゲットはたくさんあるわけですけれども、多くはこの細胞周期エンジンに関わる分子群をターゲットにしています。その中でも特にコアーな 細胞周期の中心あるそのG1、S、G2、Mとぐるぐる回る部分のG1からSの部分に移動するときに関わってくると言われているCDC6タンパクを消すということになると、その細胞の周期回転が止まるということが本質的な ところで根っこの部分で期待できるというふうに、簡単に言えば言えるわけですね。それをこの治療ではがん細胞に対して実現させようということにになっています。
ライセンシングチェックポイント
このCDC6というライセンシングファクターというのは、細胞周期を制御する因子はライセンシングファクターと呼ばれるんですけれども、細胞分裂するときにチェックポイントいう門番みたいなところがあるわけですが、そこを乗り越える時に必ず必要なんです。それをRNA干渉によって消去してそのライセンシングを奪ってしまえば、その細胞分裂周期が回らなくなるということが期待できる。
ライセンシングファクター抑制時の正常細胞とがん細胞
ですのでがん細胞の分裂が止まって動きが止まると、そういう現象のことをセネッセンスと呼んでおりますが、すなわちもう細胞が動かなくなるので、がん細胞が消えることはないんですけれども、そのままおとなしくじっとしているということがまず一つ期待できるというふうに言えます。もう一つはそのライセンシングファクターをRNA干渉で消すことができたときに、そのチェックポイントもがんは壊れていることがあります。チェックポイントが壊れている中をそのCDC6が ない状態で通過しようとすると、壊れているチェックポイントを素通りして通過してしまうことによっていい塩梅にがん細胞を消去される自己消去というアポトーシスというモードに入るということも分かってきました。ですからうまくいけば、そのがんを消すということもできるわけですね。ですのでがん細胞の分裂を止めて眠らせるか、動かなくさせるか、がん細胞を自殺させるか、この2つがこのCDC6をターゲットとしたRNA干渉療法によって期待できるということが言えます。この治療のやはり一番大きいポイントは、こういう本質的ながんの根っこのところにアプローチしているものですから、身体の正常な組織に対するダメージというものがないので副作用という副作用がないんですね。これがあの今まで標準治療として君臨している様々な治療行為に対して最もアドバンテージになるところです。ですので化学療法、放射線治療、手術もちろんそうですけれど他の標準治療を行った方に対しても並行してやることもできますし、それらの治療が終わったあとも付加治療として行うこともできるということも、非常に注目できる特徴といえます。
CDC6RNAi治療効果が期待できるケース
細かい治療成績に関してはちょっと今こちらのあの動画ではご案内できる時間がないんですけれども、やはりこれは一つ一つのがん細胞に対してRNAを一つ一つ送り込んでいくという考え方で、がん細胞の数が増えれば増えるほどたくさんのRNAをRNA干渉として送り込まなければいけないということから、数 対 数の勝負になります。ですのでがん細胞の数が少ない比較的早期のがんに関しては、非常に有効性が高いです。 これは当たり前のことです。がんというのは体の中に散りばめられるように浸潤転移することもありますから、そうするとこの遺伝子治療製剤は、点滴ですとか、直接注射などで送り込むわけですけれども、すべてのがん組織、がん細胞の中に合理的に網羅的に送り込むということが簡単にできないこともあります。ですから、がん細胞の広がりや数が多いと、その治療に関してはその能率が下がってしまうことがありますので、がんが一部分に限局して細胞数がまだ少ないうちにこの治療を施すことができれば、これ治療効果が非常に高いです。完全にがんが消えたというケースも今まで経験していますし、先ほど最初にお話したように、進行がん、末期がんで標準治療がなかなか上手くできないような方々に対しても、まだ他の正常組織が健常な状態であれば、この治療によって今まで期待できなかったような画期的な治療効果も得られるケースが増えてきました。 ですので例えばスキルス胃がんでも、まだ腹水が大量に貯留する前ですとか、腹腔内の播種層、転移層もまだ比較的制御できるような目に見えないレベルのもの、目に見えないというか画像では写らないレベルの見えにくいものであったりですとか、そういうがん細胞数がそれほど多くなければステージⅣと言われる進行がん場合でも、この治療によってコントロールできる可能性が見えてきたということも言える状態です。例えば、乳がんで肺転移をした方、リンパ節をした方も、その肺転移やリンパ節転移がまだボリュームが少ない段階であれば、完全に消せたケースも出てきましたし、あとはご高齢の胃がんでいわゆる年齢のために大きい手術ができずに姑息的なバイパス手術しかできなかったんだけれども、残っているがんが膵臓とかちょっと他の取りにくい臓器に浸潤していたのでそのまま残されたわけですが、実際がんはそれほど大きくなかったということで、この遺伝子治療を施したらほぼそのがんが動かなくなって縮んでいっているという状況を今経験しているケースもあります。そのようにこの遺伝子治療は今の標準治療を補完するという位置付けでも非常に意味があると思いますし、標準治療ができないようなケースにもトライする意義はあるというふうに我々は判断しています。
CDC7RNAi治療効果が乏しいケース
ただ残念ながらこの治療効果が乏しいケースというのも紹介せざるを得ないところがあります。先ほどちょっと申しましたが、腹水とか胸水、播種よるがんが散りまかれたことによって反応性に炎症が広範囲に起きて大量の腹水や胸水が貯留してしまったケース、これはちょっとなかなか反応が残念ながら期待できないことが多いです。あとは全身状態が悪化してしまって、悪液質という虚弱のような状況になってしまったような状態でもなかなか回復させる事が期待できないという風な状況もあります。進行の早いすい臓がんや胆管がんが、どんどん他の肝臓とか臓器に大量に転移してしまった場合にも、これもちょっと量が追いつかないのか、進行速度に追いつかないのかわかりませんが、なかなかちょっとまだ制御ができていないと言うところがございます。がん自体はあのそれほどではなくても、そのがんの影響によって複数の臓器が、腎臓ですとか肝臓ですとか、その臓器不全が起きてしまったような場合には、これはがんに対しての治療がある程度期待ができたとしても、その臓器不全の状態を治すということは残念ながらできないものですから、最終的には救命が叶わないということもあります。そのような非常に大きい期待ができる部分もありますし、一方ではちょっと限界もあるというのが正直なところです。
本治療を提供する上での障害
ただこの治療に関しても、残念ながら問題、課題というのがあります。まだ標準治療ではないということが背景にあるということから、残念ながら今多くの腫瘍内科、末期がんに対する薬物治療を専門とされているような標準治療の担当医の先生方の多くはこの非標準治療、補完治療としてのまだ認可を取れていないような未承認治療に関しては非常に否定的です。これはその気持ちもよく理解できます。私も標準治療を主として担当していた時には、この非標準治療や民間療法というのはまずほとんど信用しませんでした。患者さんの弱みに付け込むような治療という風に見えなくもないものも残念ながらありましたので、そのような確立されていない治療に対しては否定的な立場でした。ですので、今の標準治療を担当されている先生方は非常に良くがんに関しては勉強されてますし、知識も豊富な中でそのご自身たちが手がけていない治療に関して否定的であるということはよく理解できるところでもあります。実際、誇大広告で先ほど話したような民間療法のようなものがはびこっているという背景もあるということで、なおさらそのような心理は理解できるところです。ただ、残念ながらこの標準治療で、進行がんや末期がんの方々の治療に対する満足度ですとか、その生き方を納得させてあげることができているかという視点で立つと、まだまだちょっとこの標準治療でこのような疾患を網羅的に管理しきれていないという実情もあります。ですので今回我々のこの遺伝子治療はもともと患者さんたちから、この治療を発見された方々から声がかかって開始したという背景があるものですから、我々のほうが最初にこの治療を見つけてきて提供したというわけではないという事情があるというところもあるものですから、そういう患者さんたちの声に対して理解ができるという状況になったのかもしれませんけれども、結果としては標準治療でなかなかいわゆる人生を享受できないようながんの患者さんたちは少なくありませんので、そういう方々の声に関しては、やはり我々は今耳を傾ける立場を取っているわけですけれども、標準治療を行っていらっしゃる先生方もできればしっかりと、親身になってもちろん日常的にそのような立場でお忙しい中に取り組まれているということはよく理解しているわけですけれども、そういう方々の声にもしっかりと耳を傾けていただいて、我々のような未承認治療や、非標準治療ではあるけれども必要に応じて提供している、かつ期待が持てる部分はあると言う新しい技術の先端治療に関してもご理解を示していただければ非常にありがたいですし、患者さんたちも多く救われるのではないかというふうに思います。このような標準治療以外の遺伝子治療もちろんこれは我々も外部から薬剤を購入してそれを患者さんに提供させていただくので治療費負担というのが保険がきかない分どうしても大きくなってしまいます。そのいわゆる標準治療を手がけている先生方のメッセージはやはりこういう多額の治療費がかかるような自由診療の未承認治療とやっぱりあのいかがわしいところがあるということなんですけれども
創薬費用
実際一般的なその保険治療で今行われている治療薬に関しても、やはりこれは皆さんご存知の通り、創薬費用というのべらぼうに高いわけですよね。一般的には一つの新しい薬を開発するためには2000億円以上の費用と13年以上の時間がかかるということもよく言われておりますし、ですので我々もこの今手がけている遺伝子治療製剤も何とかこの一般の標準治療の創薬の流れに持っていきたいわけですけれども、今お話したような事情からそう簡単にはラインに乗せられないということもあります。ただ一方では、目の前に治療を切望されている進行がんの方々もいらっしゃるものですから、その基礎的な研究も含めたところも並行しながら、遅々たる速度かもしれませんけれども、進んでいると。現場の患者さんたちには被保険治療ではあるけれども、その状況において提供させていただいているというような状況になっています。
進行末期がんの患者様やそのご家族が標準治療以外の治療を望む理由
この治療に関しては本当に我々もその一般治療、標準治療を行っている、真剣に眼中に取り組まれている先生方からなかなかご理解いただけないこともあるわけですけれども、だからこの治療を継続していくことに関してわれわれも時々考えさせられるときもあるわけですが、その患者さんを救いきれないようなときは特に。ただそのようなときでもこの治療を継続するということをいわゆる決意、改めてあの思い描く理由というのはその患者さんやっぱりご家族の方々の生身の声なんですよね。実際に標準治療の副作用で生活の質が著しく低下されていたりだとか、期待できる治療効果が得られていないような方々は
CDC6RNAi治療を希望する方の特性
単に延命、いわゆるどうやって死を待つかというような立場ではなくて、自分の気持ちで自分の希望を持って生き抜きたいという気持ちは非常に強いわけですよね。そういう方々がやはりこのような治療を提供やめないで欲しいということをお話しされますし、やはり残念ながらその救うことができなかったような最後健康状態が悪化して状況が悪化していくような患者さんご本人からも、その最期のときを迎えられる前の段階でもこの治療絶対止めないでほしいと、今までのやり方を踏襲して開発を続けてほしいというメッセージをいただきますし、残されたご家族の方々からも温かい声を常にいただくことが多いものですから、我々としてはこの治療を継続していると言う事情があります。実際にこの治療を希望する方々の特性というのは有効な治療法がないと診断されたんだけれども、何らかの治療してがんと闘いたい生き抜きたいというような方ですとか、あとは手術で体を切除するように大きい抵抗があるという方ですとか、副作用が強すぎて化学療法の継続ができないような方ですとか、日常生活の質を落とさずに生活を営みながら治療を続けていきたいという方ですとか、あとは治療したんだけどちょっと再発が怖いのでその再発を抑えるためにも治療したいそういうふうな方々が治療を受けていただいております。
この治療に関してわれわれはこういう患者さんたちの声を大切に、かつ単に夢だけを抱いていただいて苦しんでいる藁をもすがるようなところに付け入る様な治療だったら絶対いけないので、その患者さんの立場にあくまで立つ姿勢を変えずに、かつ今この治療もどんどん有効性を高めるような工夫もその製造会社の方と製造元と常に教育的なミーティングをしながら続けていくという姿勢を貫いています。
一方で標準治療として近い将来この治療がご提供できるような日が少しでも早く来るようにその基礎的な研究ですとか作業も合わせて続けているという状況にあります。
尊厳あるがん治療
この治療を尊厳あるがん治療として我々位置づけているわけですけれども、最終的な特徴としては そのBSCも何も治療方法がないよと宣告を受けた患者さんたちも治療を受けられる可能性があるということ。 正常細胞への大きなダメージがない寛容性がある治療であるということ。 治療効果は症状が改善するということで相関するので治療を行っていくことによってからどんどん弱っていくということはなくて効果が有れば元気になっていくことが期待できるということ。 すなわち日常生活を規制することなく治療が受けられるということです。これらがこの我々が提供している遺伝子治療/RNA干渉治療の大きなメリットという風に考えています。患者さんの中には今お話したような内容を聞かれてこの治療に対して目を向けられ方も少なくはないと思いますので、何かご不安なことなどがありましたらお気軽にお声がけいただければと思います。今回はこういう比較的短い時間での動画でしたが(短くないかもしれませんけれども)詳しい説明に関しては、尊厳あるがん治療という動画のシリーズでもう少し具体的な内容、症例なども含めてご案内しておりますので、もしご興味、お時間のある方はそちらの方もご覧になって下さい。また皆さんのお役に立てるような情報を動画の方で発信できればと思っていますので引き続きよろしくお願い致します。