主要ながんの特徴・診断・治療・予防
・主要ながんの死亡数と罹患数
このグラフを見ると肺がんが突出して死亡数が大きいことがわかります。また、罹患数と比較して死亡数が多いのは、膵臓がんや胆嚢胆道がんであることがわかります。これらのがんは難治性がんと定義され、早期発見や根治的治療が極めて難しいがんです。
胃がんが粘膜層までとどまるか、リンパ節転移が1-2個で済めば、ステージ1の可能性が大きくなります。
② 胃がん 5年/10年相対生存率
•胃がんは、5年生存率と10年生存率に大きな開きがありません。
•ステージ1で診断できればほぼ根治が可能と言えます。
•ステージ4の治療成績は極端に低いことがわかります。
禁煙 節酒 ヘリコバクターピロリ菌除菌
<早期発見>
胃内視鏡検査を定期的に(1-2年に1回)受けることがポイント
<根治的治療法>
・ESD(内視鏡的粘膜剥離術)
・腹腔鏡下切除
・開腹切除
※発見が早く、病変のステージや深達度が小さいほど、ESD(内視鏡で切除)や腹腔鏡下切除など低侵襲治療が可能になり、治療の身体的精神的負担は非常に小さくなります。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
がんの下の粘膜下層に生理食塩水などを注入し浮き上がらせてスネアと呼ばれるワイヤーを用いて切除します。
ESD(内視鏡下粘膜剥離術)
内視鏡を用いて早期がんを剥離するように切除します。
炭酸ガスで腹腔内を膨らませて5-10㎜の小切開から腹腔鏡を挿入して手術操作を行います。
・大腸がん
①大腸ガンのステージ
大腸がんが固有筋層までに留まればステージ1になります。
② 大腸がんの5年/10年相対生存率
・大腸がんは 5年生存率と10年生存率に大きな開きがありません。
・ステージ1で診断できればほぼ根治が可能となります。
・ステージ2であっても根治率が高いと言えます。
・ステージ4の治療成績は極端に低いのが指摘できます。
<予防のポイント>
節酒 運動 肥満回避 動物性脂肪を控える 不飽和脂肪酸・食物繊維摂取カルシウム補充 禁煙 コーヒー摂取
<早期発見>
便潜血検査 を毎年行う 大腸内視鏡検査を3-5年毎に受ける
<根治的治療>
内視鏡的切除(EMR ESD)腹腔鏡切除開腹切除
※発見が早く、病変深達度が小さくステージが小さいほど、ESD(内視鏡で切除)や腹腔鏡下切除など低侵襲治療が可能になり、治療の身体的精神的負担は非常に小さくなる。
早期がんはその性状や拡がりに対応する方法により内視鏡下で切除手術が可能です。
炭酸ガスで腹腔内を膨らませて5-10㎜の小切開から腹腔鏡を挿入し、その補助下で小開腹による手術を行います。
・肺がん
① 肺がんのステージ
転移がなく小範囲に病巣が止まっていれば根治的治療が可能な早期疾患になり得ます。
② 肺がんの5年/10年相対生存率
・ステージ1であれば高い生存率が期待できます。
・ステージ2以降の生存率は低いことがわかります。
・ステージ4の治療成績は極端に低いのが注目されます。
③ 肺がんの 予防 早期診断 治療
<予防のポイント>
禁煙
<早期診断>
胸部X線 胸部CT検査 を毎年受ける
<治療>
胸腔鏡下切除で可能なレベルであれば根治性が期待できる。
・肝臓がん
①肝臓がんステージ
ステージ
(Ⅰ)
肝臓に2cm以下のがんが1個。がん細胞が肝臓の血管に広がってない。
(Ⅱ)
・肝臓に2cm以下のがんが1個。肝臓の血管中にも細胞が広がっている
・肝臓に2cm以下のがんがいくつかあるが、肝臓の血管中にがん細胞がない
・肝臓に2cmを超えるがんはあるが、肝臓の血管中にがん細胞がない
(Ⅲ)
・肝臓に2㎝を超えるがんがあり、肝臓の血管中にもがん細胞が広がる
・肝臓の一葉に2㎝以下のがんがあり、肝臓の血管中にもがん細胞が広がっている
・肝臓の一葉に2㎝を超えるがんがいくつかあり、肝臓の血管中にがん細胞がない
(Ⅳ)
・一葉を超えていくつかのがんがあるもの
・門脈または肝静脈の一次分枝の血管にがん細胞が広がっている
② 肝臓がん 5年/10年相対生存率
・5年生存率と10年生存率に乖離があります→再発が多いことが示唆されます。
・ステージ1でも長期生存率はそれほど高くありません。
・ステージ4の治療成績は極端に低い小さいと言えます。
③ 肝臓がん 予防 早期発見 治療
<予防のポイント >
肝炎ウイルス治療 肥満回避 節酒 コーヒー摂取
<早期発見>
腹部エコー検査 腹部CT/MRI検査 を毎年受ける
<治療>
外科的切除
RF(高周波治療)ラジオ波焼灼術
高周波治療はメスを用いない(切開がない)
・胆嚢胆道がん
① 胆のう胆道がんステージ
胆のう胆道筋層内にとどまりリンパ節転移がないことが早期病変の前提
②胆嚢胆道がん 5年/10年相対生存率
・ステージ1でも生存率はそれほど高くありません。
・ステージ4の治療成績は極端に低いのがわかります。
<予防のポイント>
肥満を回避 運動する 脂肪を控える 野菜を十分に摂取
<早期発見>
腹部エコー MRCP 腹部造影CT PET/CT
などの各種検査モダリティを駆使しても早期発見が難しい
<治療>
開腹切除 根治率が極めて低い
・膵臓がん
① 膵臓がんステージ
ステージ1で発見される可能性が極めて低い。
② 膵臓がん 5年/10年相対生存率
• ステージ1でも生存率は低いのがわかります。
• ステージ4の治療成績は極端に低いことも特徴です。
③ 膵臓がん 予防 早期発見 治療
<予防のポイント>
禁煙 肥満回避
<早期発見>
腹部エコー MRCP 腹部造影CT PET/CT
早期発見が極めて困難
・乳がん
① 乳がんステージ ステージ2までに根治治療ができると生命予後が比較的良好。
② 乳がん 5年/10年相対生存率
•5年生存率と10年生存率にやや開きがあります。
• ステージ1‐2では生存率が良好です。
•ステージ4の治療成績は極端に低くなります。
③ 乳がん 予防 早期発見 治療
<予防のポイント>
肥満回避 (乳房切除)
<早期発見>
マンモグラフィー 乳腺エコー を1-2年毎に検査
<治療>
縮小切除(+放射線治療+ホルモン化学療法)
切除手術+再建 RF(高周波)治療
・子宮がん
① 子宮がんステージ
子宮体がん
子宮頚がん
Ⅳ期 子宮頸がん、体がんともステージ0で発見されることもある。
② 子宮がん 5年/10年相対生存率
• ステージ1では生存率が高くなります。
• 子宮体がんはステージ2でも生存率やや良好です。
•ステージ4の治療成績はいずれも極めて低いのがわかります。
③ 子宮がん 予防 早期発見 治療
<予防のポイント>
子宮頸がんワクチン接種 コーヒー
<早期発見>
子宮頚部擦過細胞診 経膣エコー 骨盤MRI を毎年実施
<治療>
(頸)円錐切除術・光線力学的治療
(体)全摘出
・卵巣がん
① 卵巣がんステージ ステージ1は卵巣内に病変が止まっている。
② 卵巣がん 5年/10年相対生存率
• ステージ1のみ生存率がやや高めです。
•ステージ2以降は生存率が低くなります。
•ステージ3‐4は5年生存率と10年生存率に開きが目立ちます。
<予防のポイント>
(卵巣摘出?)
<早期発見>
経膣エコー検査 骨盤MRI検査
<治療>
腹腔鏡下切除 開腹切除
・前立腺がん
① 前立腺がんステージ ステージⅢまでであれば比較的予後が良いのが特徴。
② 前立腺がん 5年/10年相対生存率
•ステージⅠ~Ⅲでは5年、10年生存率に開きが殆どありません。
•ステージⅠ~Ⅲは生存率が極めて高いと言えます。
•対してステージⅣは極端に生存率が低いのが指摘できます。
<予防のポイント>
イソフラボン摂取
<早期発見>
高感度PSA検査 骨盤MRI検査 を毎年実施。
<治療>
手術、放射線、ホルモン療法 無治療経過観察
※早期発見が可能で進行が遅い
10年生存率が極めて良好
・治療による性機能不全
・排尿障害リスクが大きい。
・大半の前立腺がんは死亡の原因にならないので治療は不要という考えも。
・欧米では疑いがあっても精密検査や治療ではなく血液検査やMRI検査で経過を観察し、腫瘍マーカー値や腫瘍サイズが増悪するまで治療しない 「積極的監視法」が標準的。