標準治療適応外の方へのがん遺伝子治療
標準治療の適応外と診断された方へ
手術で完全切除ができない進行がんや手術/放射線治療後の再発がんに対する一般的な治療法は「化学療法」になります。そして、昨今の化学療法に用いられる抗悪性腫瘍製剤として、抗がん剤のみならず様々な「分子標的治療薬」が開発されています。加えて、遺伝子レベルの解析をもとに患者さん個別に最適な治療法を選択する「プレシジョン・メディシン(precision medecine、精密医療)」という概念が急速に広まっています。しかし、これら先端的な薬物療法を持ってしても、進行がんや再発がんに対する治療のゴールは延命であり、根治ではありません。そして、治療には相応の副作用が避けられず、治療を継続することによって薬剤による毒性の蓄積という大きな問題が生じます。
様々な抗悪性腫瘍製剤が存在する中、選択した薬物の副作用が強く治療継続が困難な場合や治療効果が乏しい場合は、別の製剤に変更されます。そして、その選択肢はほぼ型通りに決まっています。更に、薬剤を変更していく中でそれぞれの薬剤の毒性が蓄積してくるので、どの薬剤もいずれは中止せざるを得ず、変更できる製剤の選択肢にも限度があります。即ち、1st line、2nd line、3rd lineと決められた各カテゴリの薬剤が使い切られた後は、「BSC(Best Supportive Care)」と呼ばれる「緩和ケア」の段階に移行します。BSCは末期がんの治療においては非常に大切な概念です。しかし実際の医療においては、BSCと評価された患者さんに対しては、その苦痛を取り除く治療は実施するものの、病気を治すための治療は何もしないことになります
本来、BSCは末期がん患者の尊厳を保つために築かれた概念ですが、実のところ、がん患者さんやその家族らにとっては受け入れ難い「治療中止」でもあります。BSCと宣告された時に患者さんやご家族が受けるダメージは、医療提供者側には計り知れません。
遺伝子治療であるCDC6 RNAi治療は、がんの根源的な性質である無限増殖能を奪うことを意図するだけでなく、治療による副作用や毒性の蓄積がほぼありません。「担当医から有効な治療法がないと伝えられたが、仕事や日常生活の自立がいまだ可能な状態なので、諦めずに効果が期待できる何らかの治療を受けたい。」と希望される方、標準治療の適応がなくなったBSCの方も治療を受けていただくことが可能です。
残念ながら病状が進行して臓器不全に陥った状態では効果が極めて乏しいという限界もありますが、時に常識を覆す劇的な回復をすることもあり、完全にがんを駆逐できなかったとしても、がんと共存しつつ日常生活を送れる可能性もあります。
厳しい状況にあるがん患者さんが、絶望の暗闇の中で死を待つのか、それとも希望の光を持って最後まで生き抜けるのかは、ご本人やその周囲の方々にとって極めて重大な意味を持つのではないでしょうか。
治療を受けた患者さんからの「この治療との出会いに感謝している」「もっと早くこの治療を受けられれば良かった」、そのご家族からの「最後まで生きる希望が持てた」「悔いなく治療をやりつくすことができた」「この治療の提供を決して止めないでください」「更に効果の高い治療の開発に取り組んでください」などの声に、遺伝子治療/ CDC6 RNAi治療を実施する私たちはいつも支えていただいております。