当院の下肢静脈瘤治療の取り組み
北青山Dクリニックの取り組み
下肢静脈瘤は非常に多くの方が悩んでいる疾患であるにも拘らず、入院期間が長く、麻酔・手術の負担が大きいため、患者さんの殆どが、長い間、治療に進むことができずに耐え忍ぶことになる代表的な疾患の一つでした。2000年に北青山Dクリニックが1週間程度の入院加療が余儀なくされていた下肢静脈瘤の根治手術(ストリッピング手術)を日帰り手術として国内でいち早く本格的に提供し出して以来、治療に踏み切れずに悩んでいた多くの患者さんが一気に治療に進み出したと言っても過言ではないでしょう。
下肢静脈瘤の日帰り根治手術を積極的に提供し出した当時、下肢静脈瘤の血管内レーザー治療は既に存在していました。ただし、当時のレーザー機器は機能がまだ十分とは言えず、治療後の合併症が相応にあり、保険診療で行えるストリッピング手術を凌駕するものでは到底ないと判断されたため、その導入を見送りました。
2005年から、治療効果の高い血管内レーザーが国内で使用できるようになり、北青山Dクリニックはそのレーザーをいち早く取り入れて治療効果の期待できる下肢静脈瘤血管内レーザー治療も国内でいち早く積極的に開始しました。治療効果は予想以上に素晴らしいものでしたが、新しい治療として立ち上げた当初は国内での症例数が不十分なため、学会で積極的に治療成績を発表し、検証を続けてまいりました。
2007年の国際静脈学会では、根治手術と定義されるストリッピング手術と血管内レーザー治療の成績や治療満足度を比較し、血管内レーザー治療がストリッピングに匹敵する可能性があることを示しました。2008年の日本静脈学会ではシンポジストとして、血管内レーザーによる重症例の治療成績について発表し、重症例でも適切な手法を用いればレーザー治療で十分対応できることを示しました。
欧米では血管内レーザー治療は既に普及しておりましたが、日本国内では治療効果のエビデンス(医学的根拠)が明らかにされておらず、この二つの検証により、下肢静脈瘤の根治治療として血管内レーザー治療が十分機能し得ることが提示されたことになります。そして更に2010年の日本静脈学会会長要望演題として波長の異なる各種レーザー機器の性能や治療成績を比較検討し、波長2000nmのレーザーが最も優れていることを提示し、以来、最高スペックのレーザー(波長2000nm)を使用して治療を提供し続けております。
昨今、下肢静脈瘤の日帰り治療・レーザー治療は、医療界ではある種のブームのごとくその治療を専門に提供する医療機関が乱立しています。そして波長980nmのレーザーは保険適用にもなり費用の点で治療を躊躇していた方も治療に進みやすい環境が更に整ってきました。
そして、2014年には980nmより合併症が少なく治療成績が良いとされる1470nmレーザーの治療や手術時間が短く治療操作が簡易な高周波治療(ラジオ波治療 /RF治療)も保険収載されました。北青山Dクリニックではこれら保険適用の治療機器も取り揃えて患者さんの様々なニーズに応えられるように配慮しています。
2015年の日本静脈学会では、血管内レーザー焼灼術の長期治療成績について、海外の論文報告も精査したうえで提示しました。レーザー治療が急激に広がってきた中で、治療従事者が欲していた、「血管内レーザー治療の長期成績結果」を国内で最初に提示したことになります。レーザー治療の長期治療成績は予想通り非常に良好なものでした。
2017年からは血管内治療としてレーザーや高周波に代わるグルー治療(接着治療)の提供も行っています。これは医療用瞬間接着剤(nブチルシアノアクリレート)により弁不全を来した静脈内腔を閉鎖する治療で小範囲の局所麻酔のみで治療が可能です。
今や、下肢静脈瘤の治療は複数の選択肢があり、治療に使用するレーザー機器も複数種類あります。適切な治療を選択すれば日常を損ねることのない治療をより安全に受けることができます。これは、下肢静脈瘤の治療を希望する患者さんにとっては福音であると共に、より正しく情報を入手して、自身で納得のうえ治療に進むことがより求められます。下肢静脈瘤の治療専門機関が急増し出してきた中、意図的な口コミ情報などを流す悪質なサイトもあり注意が必要です。
北青山Dクリニックは、下肢静脈瘤の日帰り根治手術を考案し現在まで30,000肢以上の下肢静脈瘤日帰り治療を提供してまいりました。そして、高い治療実績を基に、血管内レーザー治療の普及にも努めてまいりました。エビデンス(医学的根拠)に基づいた質の高い下肢静脈瘤の根治的治療を希望される方はどうぞお気軽にご相談下さい。
北青山D.CLINIC血管内治療のあゆみ
- 2000年10月
- 北青山Dクリニック開設 下肢静脈瘤日帰り根治手術を開始。
- 2005年5月
- 下肢静脈瘤血管内レーザー(波長1320nm)治療開始。
下肢静脈瘤レーザー治療センター設置 - 2006年7月
- 書籍「脚と血管のアンチエイジング」上梓
- 2007年6月
- 国際静脈学会で血管内レーザー治療がストリッピング手術に匹敵することを提示。
- 2008年6月
- 日本静脈学会で血管内レーザー治療が下肢静脈瘤重症例にも治療効果が得られることを提示。
- 2008年
- 最高機種レーザー(波長2000nm)を用いて治療開始。
- 2010年6月
- 日本静脈学会で2000nmのレーザーが他機種に比べ治療成績・治療満足度どちらも優れていることを提示。
- 2010年12月
- 保険適用レーザー980nmも導入。
- 2014年7月
- 保険適用レーザー1470nmも導入。
- 2014年10月
- 高周波(RF、ラジオ波)治療器を導入。
- 2015年2月
- 書籍「下肢静脈瘤治療 /日帰り・レーザー・根治」上梓
- 2015年6月
- 日本静脈学会で1320nmの血管内レーザー治療の長期成績が良好だったことを報告
- 2017年3月
- nブチルチアのアクリレートによるス-パーグルー治療提供開始
- 2018年4月
- 医学誌「手術」金原出版Vol72 .No5 に出稿依頼あり
「下肢静脈瘤に対するレーザー焼灼術」投稿 - 2020年4月
- 保険適用のグルー治療提供開始
※最先端治療器を常に導入しています。
学会演題
- 2007年6月
- 国際静脈学会
「下肢静脈瘤血管内レーザー治療の術後成績の検討」 - 2008年6月
- 日本静脈学会
「Treatment outcomes of Endovenous laser therapy for Saphenous varicose vein of the legs with cutaneous lesions 」 - 2010年6月
- 日本静脈学会
「波長2000nmレーザーによる伏在型下肢静脈瘤の血管内治療の評価」 - 2012年5月
- 日本血管外科学会
「下肢静脈瘤日帰り根治治療を考案して」 - 2015年7月
- 日本静脈学会
「伏在型下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術後7-9年経過例の治療成績」
監修医師
監修医師 | 北青山D.CLINIC院長 阿保 義久 (あぼ よしひさ) |
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経歴 |
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所属学会 |