静脈機能不全治療におけるNブチルシアノアクリレート-ポリメライゼーションによる塞栓効果
背景
静脈機能不全に対してNブチルシアノクリレートを用いた新しい塞栓術の早期治療成績について研究する。
方法
下肢静脈瘤と診断された計181人の患者に対してVariClose:Vein Sealing Systems にる治療を4つの異なる医療機関で実施した。術前、術後1日、7日、1カ月、3か月、6か月に、血管パルスドップラ―エコー検査、静脈臨床重症度スコア及び生活の質の評価を実施し、臨床面での回復度合いを検証した。
結果
181人(女性110名)の患者に対して215例の塞栓術が問題なく実施された。患者の平均年齢は37.6±13.2歳(18-72歳)であった。215例のうち25例は両下肢で大伏在静脈が206例、小伏在静脈が9例であった。治療前の平均血管径は、大伏在静脈が6.5±1.4mm(4.3-14mm)、小伏在静脈が5.2±1.3mm(3.8-8.6mm)だった。平均血管閉塞長は31.6±6.1㎝(23-70㎝)、患者に対して使用したNブチルシアノアクリレートの平均使用量は0.9ml(0.7-2.1ml)だった。治療による閉塞率は100%、術後疼痛は11例(6.1%)、血栓性静脈炎は1例(0.5%)で、完全再疎通は一例もなかった。6か月後は5例(2.7%)に部分的再疎通が認められ、術後6か月での完全閉塞率は97.2%だった。
結語
TLA及び熱焼灼が不要なこの新しい閉塞術は、安全に実施し得て高い閉塞率が期待できる。
ジャーナル
Vasa. 2016;45(3):241-6. doi: 10.1024/0301-1526/a000531.
N-butyl cyanoacrylate in the treatment of venous insufficiency-- the effect of embolisation with ablative polymerisation.