静脈瘤の経験とこれに対する局所麻酔下での低侵襲手術に関する解析
研究目的
静脈瘤に罹患した患者の生活状況と、民間病院で局所麻酔下に低侵襲手術を受けた患者の状況について、見識を得ること。
研究背景
静脈瘤に対する治療では、近年、局所麻酔下で行う低侵襲手術が従来から行われているストリッピング手術に、置き換わりつつある。以前は、覚醒下で行う手術では、手術中の不安や疼痛が問題となっていた。現在、局所麻酔下での静脈瘤の手術を受けた患者の経験について、その現状を研究した論文は非常に限られている。
研究の概要
20人の患者を対象とし、患者の状況を踏まえた上での質的なインタビュー形式を行い、術中の痛みや不安をまぎらわすための様々な方法について、その効果を検討する。
研究方法
研究に参加する患者は、手術後8週間目に手術前、手術中、手術後の自らの経験について、インタビューを受け、インタビューを行った研究者は、この結果を解析する。
結果
インタビューの結果、4つのテーマについて検討を行った。
- (1)症状に伴う否定的な感情
- (2)手術手技に対する覚悟の不十分さ
- (3)介護されている感覚
- (4)生活の質の改善
そうしたところ、患者との関係における包括的なテーマ見つかった。総合的にみると、静脈瘤は、術前には患者の生活の質に決定的な悪影響を及ぼしている。患者は、手術に際し、精神的な覚悟が十分にできていない場合において、手術中に不安が芽生え、術中の著しい不快を感じているが、これは、手術に関わる看護スタッフのサポートにより著しく改善している。術後においては、患者の生活の質は改善している。
結論
局所麻酔下で手術を行う患者に対しては、術前の十分な心構えが必要であり、こうしたことに関する看護師の役割が非常に重要となる。患者の介護とともに、リラックスした環境を作ることが、看護師の重要な役割と言える。こうすることで、患者の経験をより快適なものとできるであろう。
通常の臨床への応用
静脈瘤とともに生活するという経験、また、手術をうけるという経験はともに患者の生活の質や他者との関係に大いに影響を及ぼしている。患者の手術を受けるという経験をより快適なものにするために、看護師は重要な役割を果たしている。患者が十分手術の内容と術後の回復過程について、理解を深めることに十分な配慮が必要であろう。
ジャーナル
A thematic analysis of experiences of varicose veins and minimally invasive surgery under local anaesthesia
J clin Nurs 2015