静脈瘤の治療法を比較する無作為化試験
研究背景
静脈瘤の治療において、超音波ガイド下フォーム硬化療法と血管内レーザー焼灼術は、ストリッピング手術に代わるものとして広く用いられているが、それぞれの効果や安全性の比較については明らかにされていない。
研究方法
英国の11の医療機関で798名の1次性下肢静脈瘤を対象に行った無作為化試験で、フォーム硬化療法、血管内レーザー焼灼術、ストリッピング手術の治療成績を比較した。静脈瘤に関連する生活の質と一般的な生活の質を複数の方法で評価したものを、治療後6か月目の一次結果とした。二次結果は合併症と臨床上の治療成績を含めた。
結果
静脈瘤に起因する生活の質はストリッピング手術よりもフォーム硬化療法の方が若干悪かったが、血管内レーザー焼灼術とストリッピング手術では同等だった。一般的な生活の質に関してはフォーム硬化療法、血管内レーザー焼灼術、ストリッピング手術で明らかな違いはなかった。施術に伴う合併症の頻度は、フォーム硬化療法(6%)とストリッピング手術(7%)は同等だったが、血管内レーザー焼灼術(0.1%)は手術に比べて有意に低かった(p<0.001)。深刻な有害事象の発生頻度(約3%)は全ての群で同等だった。臨床上の成績は各群で変わらなかったが、伏在静脈本幹の消失度は外科手術の群に比べてフォーム硬化療法の群は劣っていた。
結論
疾患に特異的な生活の質についてはフォーム硬化療法群が手術群に比べて若干低下したが、生活の質の調査結果は、全ての群で概して同等だった。全ての治療法で臨床的効果に差はなかったが、合併症の発生率はレーザー治療が少なく、静脈本幹の消失度はフォーム硬化療法が小さかった。
ジャーナル
The New England Journal of Medicine 25/Sep/2015