【CDC6 RNAi治療】がん細胞の無限増殖を促す物質「CDC6タンパク」を消去(knock down)し、正常の細胞と同じように老化・消滅させることを目指した治療。
がん細胞を正常細胞に戻す治療
がん細胞は、インフルエンザウイルスなどのように外部から体内に入り込むものではなく、もともとは正常だった細胞が、突然変異によって悪い性質を帯びてしまったものです。
それは、ごく普通の人が突然、正気を失って罪を犯してしまうイメージにも例えられます。
がん治療の多くは、化学療法や免疫療法のように、がんを異物と捉えて消滅させることを目指した治療です。
これに対して「CDC6RNAi治療」は、がんを異物として捉えません。がん細胞を消滅させるのではなく、がん細胞を正常に戻すことを目指します。 そういう意味で「CDC6 RNAi 治療」は、既存のがん治療とは異なる斬新なコンセプトに基づく治療法と言えるでしょう。
CDC6 RNAi 治療の狙い
「CDC6タンパク」は細胞の増殖を調節する因子の一つであり、本来は細胞分裂周期の一時期にしか現れません。しかし、がん細胞では細胞周期のすべてのステージに存在しており、そのために、がん細胞は「自己増殖シグナル」を出し続け、無限増殖ができる状態にあると考えられています。 「CDC6 RNAi 治療」は、そのCDC6タンパクの消去を目指す治療です。 CDC6タンパクが消去されれば、がんの無限増殖は停止し、その細胞は正常なプロセスで老化・消滅することになります。
CDC6 RNAi治療のメカニズム
- CDC6 RNAi をがん細胞に送り込む。
- CDC6タンパクの合成に関わるmRNA(メッセンジャーRNA)を破壊する
- CDC6タンパクの合成が停止
- CDC6タンパクが消去(knock down)される
- 細胞が正常化する(無限増殖能や細胞死回避能力が消える)
※「CDC6 RNAi 治療」という名称は、阿保義久院長が2009年に本治療を開始した際に命名したもので、一般的な呼び名ではありません。近年は同名の治療を行っている他の医療機関もあるようですが、具体的な治療法(薬剤であるCDC6 RNAi の投与経路、投与頻度、治療毎の投与量)は各医療機関で異なっています。このような新しい治療は、担当医の臨床経験や臨床の勘で決められ、同名であっても治療内容や成果は異なることを注意していただきたいと思います。
・CDC6 RNAi 治療の費用
・CDC6 RNAi 治療の効果について
従来の遺伝子治療とCDC6 RNAi 療法の違い
従来のがん遺伝子治療は代表的な「がん抑制遺伝子」P53などを投与するもので、アデノウイルスベクターが主として用いられていましたが、治療効果はかなり限定的でした。がんの無限増殖を促すライセンシングファクターは治療ターゲットとされておらず、ベクターの能力もあまり優れていないためです。
対してCDC6 RNAi 療法は、従来の遺伝子治療と比べて以下のような違いがあります。
- CDC6 RNAi 療法は、がんの無限増殖を促すライセンシングファクターを主としてターゲットとしており、がんの無限増殖を根源的に抑えることを意図している。
- CDC6 RNAi 療法は、遺伝子治療のポイントとなる下記A~Eのうち、A、B、C、Dを全て満たす。
A.がん細胞のみが持つ物質をターゲットとしていること
B.その物質はがん細胞分裂維持に必須のものであること
C.治療での分子生物学的反応は、がん細胞にのみ発生し、正常細胞には何ら影響がないこと
D.遺伝子治療製剤を運ぶベクターが確実にがん細胞に到達し長時間治療効果を維持できること
E.がん細胞に対応する生理活性物質が、がん細胞数に対して数的に圧倒的に多数であること
具体的には
A:がん細胞のみに特異的に大量に発生しているCDC6をターゲットにしている。
B:CDC6はがん細胞の無限分裂を開始するために必須のライセンシングファクターである。
C:がん細胞に送達された時のみに作用するよう「hTERT」(がん細胞の目印)を搭載している。
D:遺伝子治療において極めて能力の高いベクターレンチウイルスベクターを採択している。 - CDC6 RNAi 療法においては、複数のがん抑制遺伝子であるp16、p53、PTENも並行して投与する。
- Ezh2、GATA3、RA53iなど新たな治療ターゲットも視野に入れて治療プランを立案できる。
- 薬効の力価を高めて効率よく治療効果を実現するために定期的にベクターを改良している。
※上記4.5.は、CDC6 RNAi 治療の発案者であるDr.Luo Feng及びその研究チームと2009年から蜜に連携して実現しています。
また、東大や名大など、がん専門医たちの監修を受けて治療を実践しています。