2008年にCDC6 RNAi 療法に出会い、当治療を実際に患者さんに提供するようになってから早10年になります。
開始当時は薬剤の入手に甚大な費用を要したため、治療効果を上げるために必要な薬剤量を使用することが困難でした。その後、薬剤の入手経路を合理化や薬剤の製造業者との協議により、薬剤製造(販売)コストを抑えつつも薬剤濃度を高める努力を継続してきました。
今や、当初の薬剤に比べると極めて大きな薬効を持つCDC6 RNAi 製剤が使用可能です。今後の治療成果に大きく期待しています。
CDC6 RNAi 製剤の開発年度と薬剤内容の一覧は以下の通りです。
①2001年 CDC6 RNAi +hTERT: レンチウイルスベクター
②2006年 CDC6 RNAi +hTERT: レンチウイルスベクター ①の改良 血中半減期を延長
③2009年 CDC6 RNAi +hTERT: レンチウイルスベクター ②を改良 薬剤安定性を向上
④2010年 CDC6 RNAi +hTERT+ P16+ PTEN レンチウイルスベクター
⑤2014年 CDC6 RNAi +hTERT: レンチウイルスベクター ②の薬剤濃度を5倍前後に向上
➅2016年 CDC6 RNAi +hTERT+ P16+ PTEN プラスミドベクター
⑦2017年 CDC6 RNAi +hTERT: レンチウイルスベクター ⑤の薬剤濃度を100倍に向上
現在使用している⑦は、①~➅の製剤と全く次元の異なるスペックの製剤で、最新の治療薬として極めて高い治療効果が期待されます。
今後も、スキルス胃がんや進行乳がん、膵臓がんのみならず、各種の進行がんの患者さん達に尊厳あるがん治療を提供し得るよう努力を続けたいと考えています。
参考: 当院の遺伝子治療で対応した各癌の割合
胃癌(4.8%) スキルス胃癌(25.4%) 乳癌(11.1%) 肺癌(7.9%) 大腸癌(14.3%) 膵臓癌(7.9%) 肝臓癌(1.6%) 前立腺癌(3.2%)
腎臓癌(3.2%) 卵巣癌(4.0%) 子宮癌(2.4%) 甲状腺癌(2.4%) 咽頭癌(2.4%) 食道癌(1.6%) 胸腺癌(1.6%) 膀胱癌(0.8%) 舌癌(0.8%)
悪性繊維性組織球症(0.8%) 悪性ブライト腫瘍(0.8%) 繊維形成性細胞性腫瘍(0.8%) 神経膠芽腫(0.8%) 子宮筋肉腫(0.8%)