- 当院で行っている がん遺伝子治療の成績 について既存治療と 生存曲線の比較 行った。
- 治療薬は年々改善されており、今後さらに治療成績が改善することが見込まれる。
- 副作用が極めて小さいため治療薬の投与量を増加することができ、それによって治療効果が飛躍的に上がる可能性もある。
2009年から遺伝子治療(CDC6 RNAi 療法)を開始して6年以上経過しました。この治療を希望する方のほとんどは、すでに末期がんで、効果的な標準治療が見いだせない、もしくは化学療法の副作用が激し過ぎて治療を継続できない、という悩みを抱えられています。 そして、少しでも効果のある治療を受け続けたいという強い気持ちを持たれており、サポートしているご家族の皆様に深く愛され大切にされている、という点で皆さん共通しています。このような方々の希望に応えるべく最良の治療を模索し続ける中、遺伝子治療薬も年々改良を重ね、初期に比べると薬剤の治療効果が非常に向上してきました。この度、遺伝子治療に着手してから5年以上の歳月が過ぎましたので、治療効果を評価する際に一般的に用いられる生存曲線を参考に治療成績を検証しました。 対象は、スキルス胃がんと診断され、既に標準治療の適用外と説明を受けた方、抗がん剤治療を相当に重ねてきたにもかかわらず治療効果が乏しい方、また、治験薬の使用を勧められたが他の治療を希望された方など、ステージⅣの中でも末期に近い方々、計26名です。全がん協加盟24施設の生存率共同調査結果であるステージ4の胃がん1014症例の生存曲線を比較対象としました。 ステージⅣとは、胃がんの他に、肺・肝臓・腹腔内など遠隔に転移が見られる状態ですが、同じステージⅣでも、自覚症状がなく日常生活を送られている方から腹水や骨転移等の極めて厳しい状態の方など病期は異なります。当院で遺伝子治療を受けられた方々は殆どがステージⅣの中でも進行した病態に至っておられました。その厳しい状態から治療を開始したにもかかわらず全がん協の調査結果である生存曲線よりも遺伝子治療後の患者さんの生存曲線が良好という結果が得られました。
これはどのようなことを意味するのでしょう。遺伝子治療では抗がん剤治療(化学療法)に見られるような強い副作用がありません。
すなわち投薬量の限界がないので理論上は治療薬をどんどん投与することができます。
仮に際限なく投与量を増やせたら生存曲線はさらに改善することが期待でき、不可能と考えられている進行がん、末期がんのコントロールができるかもしれません。 当初、遺伝子治療で目指したのは、進行がんや末期がんの方々ががんを克服することでした。
実際は、一定の効果はあるものの、なかなか所望通りの結果が得られないシーンを目にしてきました。
薬や投薬法を改善し、投与薬剤量を増やし、治療効果の改善を意図してきました。今回、冷静に治療データを整理することで、進行がんであっても遺伝子治療で症状が改善できることと、さらに遺伝子治療成績の改善の余地があることの二点を再認識することができたわけです。
現在使用している遺伝子治療薬剤は副作用がほとんど発生しないので、可能な範囲で最大限の薬剤投与量を送達することが、治療効果を高める上で大切であると判断しています。 今後も更なる治療効果の向上を目指して、治療薬の改善と、至適投薬量についての検証を日々継続していきたいと考えています。
がんに対する標準治療で症状が十分にコントロールできていない方、がん治療の補助療法として有効な補完医療を求められる方はお気軽にご相談ください。