医療広告ガイドラインの変更の変更に伴う広告規制doctor-blog

医療に関する広告は、患者さんなど利用者を保護するために医療法やその他の規定により規制されています。ただし、ウェブサイトの情報に関しては、その規制の対象
外でした。しかし、昨今、美容医療に関する相談件数が増加する中、消費者委員会よりウェブサイトにおいても規制対象とすべきとの声が上がり、他の広告媒体と同様にこの6月より規制対象となりました。これにより、今までは無造作にウェブサイト提示されてきた情報も、誤解を招かないよう、誇大表現にならないよう、一層の配慮が必要になります。
しかしながら、患者さんが不利益を被らないように整備されたこの規制が、詳細な診療内容など患者さんが求める情報の円滑な提供を妨げることにもなりかねないため、患者さんに不利益とならないように運用することも必要だと言えます。北青山Dクリニックがウェブサイトで自らの医療情報を公開したのは開業とほぼ同時の2000年10月からでした。当時は、インターネットで自院の情報を公開する医療機関はほぼ皆無でした。複数の医療コンサルタントに意見を聞いてもインターネットはアダルト情報で氾濫しているので医療機関が広報として利用するのは不適切かつ無効、という意見ばかりでした。しかし、コネもバックもない状況で都心部に開業した医療機関を少しでも早く
多くの方に認知してもらうためにインターネットは非常に重要な媒体ではないかと感じていました。また、開業にあたって新しい医療コンセプト(日帰り手術、予防医療、抗加齢医療など)に基づいた医療を展開することを意図していたため、なおさら情報開示が大切でした。患者さんに正確な情報を誤解なく訴求することを第一に、かつ自分たちの特徴をしっかりと伝えられよう配慮して、当初は自前でホームページを作成しました。
時代が経つにつれて、インターネットを介した情報開示がすべての業界で至極当然のこととなり医療機関も例にもれずホームページで情報を公開するのが当たり前になっています。2000年当時に比べれば、今や企業の広報としてのホーム―ページの価値は急騰し、以前はしっかりとしたホームページを作成してもその費用は数十万円で済みましたが、今では質の高いサイトを制作するには、専門業者への依頼が必要で、制作コストは数百万円からサイト規模によっては1000万円程度も必要になっています。

そのような中で、「医療機関は内部情報が開示されにくい」という常識を覆すべく、診療に関する情報をありのまま開示することに心掛けてきました。担当医師の経歴・実績、診療時間、受診の手順、そして治療費用などの情報は当然のことながら、受診された患者さん側の生の声を脚色なく開示することを務めてきました。時には厳しい声が患者さんから届けられることもありましたが、そのような負の意見も含めて網羅的に公開してきました。
そのことにより、患者さん方が安心と信頼のもとに北青山Dクリニックを受診する流れが作られていたと思います。ところが、今回の規制では情報開示に関しての制約が厳しいだけでなく、具体性に欠く部分もあって、今までの情報開示の方法をどのように修正すべきか判断が難しいために、結果として情報量を大きく削除するなどの修正を余儀なくされる可能性があります。もとはと言えば、最近の医療機関(特に美容医療機関)の中で誇大広告や極端な誘因情報をインターネット上で展開するところが増え、結果として患者さん方に不安と不満を募らせたことが、規制が強化された理由です。倫理観に欠く、極端な営利主義に基づく、医療機関が多く存在するという残念で情けない事実が背景にあります。そのために、当局が今回のような厳しい規制を設けざるを得ない事態を招きました。これは、極めて由々しき事態で、真摯にかつ誠意をもって情報公開している医療機関が割を食ったと言えます。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会