梅雨から夏にかけては下肢静脈瘤が悪化しやすい時期doctor-blog

梅雨から夏にかけての時期は下肢静脈瘤の症状が悪化しやすいので、毎年この時期には「脚が赤く腫れ上がって痛い」「潰瘍ができた」など重症例の患者さんが増えてきます。

また、下肢静脈瘤治療専門の病院がこの1~2年で急に増えたことも影響してか、他院での治療効果があまり良くなくてDクリニックに来院される患者さんも最近いらっしゃいます。

今回ご紹介する患者さんは12月に潰瘍を伴う左大伏在静脈瘤に対して当院で血管内レーザー治療を受けられました。

その時に右脚の大伏在静脈瘤も指摘しましたが、ご本人が症状の強い左脚のみの治療を希望されました。

「手術後、左足は順調に経過して潰瘍もすぐ治ったのですが、右足は放置したために症状が悪化してしまいました。右足の治療も考えたが、当初から勧めてくれていたDクリニックには気まずくて受診できず他院でレーザー治療を受けました。ところ経過が良くないため、意を決してDクリニックを再度受診しました」とのことでした。
拝見すると、確かに左脚の凸凹は完全になくなり、潰瘍も若干の色素沈着のみにまで改善していました。しかし右脚には以前はなかった色素沈着とびらんが発生していました。

血管エコー検査を行うと右脚の太ももに不全穿通枝があったので、その場で硬化療法を実施しました。他院での治療では大伏在静脈のみ閉塞し、不全穿通枝の処理が完全ではなかったために経過があまり良くなかったのだと考えられます。

下肢静脈瘤は放置すると悪化して重症化します。

今は下肢静脈瘤治療は日帰りで治療できるようになっています。病的な血管を放置せず早期に治療を受けることをお勧めします。実際この患者さんは「両脚の手術を同日に受けるのは怖かったけれど、左脚の時に右脚も治療しておけば良かった」と話されました。

下肢静脈瘤の症状が悪化しやすいこの時期こそ早めに治療を受けることをお勧めします。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会