RF(高周波/ラジオ波)による下肢静脈瘤治療が保険適用にdoctor-blog

本年5月、今までの980nmレーザーより高性能の1470nmレーザーも保険収載され、この6月にはレーザー治療と同じ血管内治療の一つ、RF治療(ラジオ波焼灼術/高周波アブレーションカテーテル治療)も保険収載されました。

なかなか、新しい治療の保険収載が進まない日本で、これだけ続けて下肢静脈瘤の血管内治療が保険収載されたことは注目に値します。しかし、前回のブログで述べたように必ずしも最先端、最良の医療が保険収載されるわけではありません。

下肢静脈瘤の治療に用いられるレーザーも、RFも全て海外製品です。
その海外の機器メーカーが投資し、治験を行って厚生労働省に申請して認可を得ることになります。
治験には相当な投資と時間が必要となるため、どんなに優秀な医療機器・治療法であっても保険認可が取れないことは多々あります。

治療選択肢が広がる点では良いのですが、どの治療がベストなのかの判断が難しくなるという見方もあります。
血管内治療が進化し、その中で複数の治療が保険収載されつつある中、どのようにそれらの治療の適用を判断すべきなのか考察してみたいと思います。

RFとは、血管内レーザー治療と同様に、静脈瘤の原因となる血管の中にカテーテルを挿入し血管内腔を閉鎖して逆流を止める治療法です。従来のストリッピング手術に比べて体へのダメージが少なく日帰り治療が可能な点ではレーザー治療と同等です。
そもそもRFはレーザー治療より前から行われていて、北青山Dクリニックを立ち上げた2000年当時にもRFによる下肢静脈瘤治療は既に存在していました。
しかし、血管の閉塞率が低く再発しやすいため、時期尚早であると判断し、その時は導入を見送りました。

その後、北青山Dクリニックは下肢静脈瘤外来根治治療を深化させ、レーザーの発展に応じてより優れた治療法の開発に取り組んできました。一方、RFも当初のモデルに改良が加えられ、血管の閉塞率が従来の保険適用レーザー(980nm)と同等になったと判断されて今回の保険収載となったようです。
初期のRFは血管焼灼温度が60-80℃程度だったのが現行モデルは120度まで上昇しています。
RFの利点は、手術操作が比較的簡単で医師による効果の差異が少ない点と術後の痛みが少ない点で、導入コストも安価なので今後普及が進むと予測されます。逆に欠点は血管径が大きいと閉塞率が低くなる点、処置血管が短すぎる場合のカスタマイズができない点です。

北青山Dクリニックでも、RFの導入を進めていますが、レーザーとRFを比較した医学論文を見ると、「治療効果はレーザーが優れ、術後の痛みはRFの方が少ない」という趣旨のものが目立ちます。痛みの点ではレーザー治療も980nmから1470nmと波長が長くなることにより軽減されるようになり、一方RFも980nmレーザーと同等の血管閉塞率を期待できると報告されています。


すなわち、治療効果や術後の痛みの面では保険適用のレーザーとRFは近似していると見なされるようになりました。

保険適用の血管内治療を希望される方には、静脈瘤の症状に応じて470nmレーザーとRFを使い分けていく予定です。(980nm、1470nm、RFのどれを選択しても治療費は同じです)。基本的には、拡張が極端に大きくなく照射血管長が7㎝以上の場合にはRF、血管径が大きい場合や照射血管長が7cm未満の場合には1470nmレーザー治療をご案内します。
北青山Dクリニックでは、最高波長で高品質のレーザー治療を希望される方、できるだけ通院回数を減らして早く症状を改善させたい方、圧迫ストッキングの着用期間を最小限にしたい方、重症例や複雑な静脈瘤の方、現時点でベストの治療法を希望される方には、今まで通り2000nmのレーザー治療を提供していきます。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会