日帰り手術で大丈夫?doctor-blog

1)日帰りストリッピングの場合、術後の痛みというのは何日ぐらい続くのでしょうか。
素人からすると血管を引き抜くというのはかなり乱暴に聞こえ、ダメージが大きく普通の歩行ができなくなるのではという不安があるのですが。

2)貴院では、麻酔の工夫により普通であれば4日間位入院するところ、日帰りを可能にしていると理解しております。
ありがたい反面ちょっと不安になるのですが、なぜ他の病院では同様な日帰り手術法を採用せず入院をすすめているのでしょうか?小生が知らないだけで、日帰り手術法が主流になりつつあるのでしょうか?

ご質問にお答えします。

1)施術後の痛みは個人差や施術範囲による差異はありますが、一般的に1週間程度で日常生活は支障がなくなるようです。
術後は消炎鎮痛剤を必要に応じて使用していただきます。痛みがつらくて生活に著しく支障を来たすことはないと思います。
血管を引き抜くことにより周辺の知覚神経や小細血管がダメージを受けますので、感覚障害や出血がしばらく発生しますが、運動神経のレベルには影響が及びませんので歩行ができなくなるなどの運動障害は原則ありません。

2)私個人的には、10年前に総合病院で下肢静脈瘤の入院治療を担当していた時に、麻酔の覚めが早い方は手術翌日から普通に歩けるのを目にして、麻酔法さえ工夫すれば日帰りでも問題ないのでは考え、患者さんの協力を得て、局所麻酔と静脈麻酔を用いて手術をしたところ、手術も術後経過も非常に良好に経過したことから、日帰り手術を希望される方には、そのやり方で治療を行うようにしてきました。
以後、何ら問題なく、むしろ離床が早いので、術後の血栓症などの合併症が発生する可能性は日帰り手術のほうが少ないことも体感できました。
当初気にしていた術後の出血コントロールに関しても圧迫処置をしっかりやれば、手術後数時間の安静の後、離床帰宅しても問題ないことがわかりました。
現在まで、日帰りストリッピング手術は術者として2000例以上経験しましたが、術後再入院や重篤な合併症は1例も発生しておりません。総合病院が日帰り手術を提供しないのは、運営面や医療経営的に入院管理体制を変更しにくいからと判断できます。
総合病院の中でもいくつかの病院は日帰り手術センターなどの施設(システムのみかもしれませんが)を増設して、下肢静瘤の日帰り手術を行っている所も出てきています。
医療技術は日進月歩に変化し、かつ医療に対するニーズが多様化する中では、下肢静脈瘤の日帰り手術は今後スタンダードなものになると思います。

このようにストリッピング手術も日帰りが可能ですが、治療による体へのダメージをより減らすことのできるレーザー治療ですと日帰りはおろか施術直後に帰宅できて施術後の回復がよりスムーズになります。
レーザー治療は自費診療なので個人負担が大きいという弱点はありますが、質の非常に高い治療法です。

日帰りストリッピング手術であれレーザー治療であれ、皆様の希望に応じて提供させて頂いております。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会