新型コロナウイルス抗体価の解釈について
新型コロナウイルス抗体価の解釈について
新型コロナワクチン接種の効果判定を目的としたコロナSタンパクに対する血液中のIgG中和抗体価(抗体量)の測定が活用されています。 一方、抗体量は時間経過と共に徐々に減衰していくため、ご自身の抗体活性が今後どのくらい残存するのか知りたいという声をしばしば耳にします。ここでは、血液中の抗体価の解釈についてご説明します。
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参考:新型コロナウイルス IgG中和抗体価 について
ファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンは、新型コロナ感染症を95%程度抑制する効果があるとされていますが、効果の持続時間については2021年4月6日に最も権威ある医学誌の一つNew England Journal of Medicineで解析されています。
これによると当該ワクチンを2回接種したあと180日を経過した時点でも高い中和抗体活性(ウイルスの感染を抑える抗体力価)が維持されていると報告されています。ただし、下のグラフで示されるように抗体価は時間とともに徐々に減衰し、若年者ほど抗体価は長く保持されることがわかっています。
抗体価の陽性陰性を決めるカットオフ値は50Uですが、ウイルスを中和するのに必要な抗体価は1000 U以上とされています。
年齢によって抗体価の残存期間は異なりますが、現在の抗体価が半減するまでの期間は68~202日と報告されています。 よって、例として下記の抗体価の場合に必要な抗体活性が維持される残存期間を示します(個人差はあります)。
例: 抗体価
20,000 約9か月~2年
10,000 7か月~1年7か月
5,000 4か月~1年1か月
2,000 2か月~7か月
ただし、免疫のポテンシャルは中和抗体価のみで評価されるものではありません。
免疫の力は、抗体以外にも、粘膜や繊毛、マクロファージ、顆粒球、NK細胞などの自然免疫を司る細胞の状態や強力な獲得免疫であるT細胞免疫などが規定します。力価が低下している場合でも、十分な睡眠の確保、適度な運動の励行、バランスの取れた食事集患の維持、ストレスコントロール、保温などに留意して、ご自身の免疫を維持することが大切です。
ご自身の抗体価の減衰がご不安な方は定期的に抗体検査を受けることをお勧めします。
2021年7月 北青山D.CLINIC