症例・治療事例CASE

再生医療

【再生医療】症例(3)80代女性 動脈硬化(肘の慢性疼痛もあり)

2021.09.17

ご相談内容 特に、右膝の関節痛に対して再生医療を希望。疼痛評価シートを記入。
治療方針 右膝の痛みはあるが、膝関節というよりは、左腰臀部から下肢にかけての筋肉痛の印象もある。前回キレーションを受けたら、歩行が多少楽になったとのこと。
膝MRIもプランするが、動脈硬化を客観的に判断する以下の検査結果(7月)から、動脈硬化と診断、動脈硬化で再生医療が適応となる。



【IMT/CAVI/ABI】





















7月(脂肪採取時)検査結果
IMT(頸動脈超音波検査) Max 2.3
Mean 1.4
Max 1.2
Mean 1.1
CAVI(動脈の硬さの指標) 9.6 8.0
ABI(下肢動脈の狭窄・閉塞の評価指標) 1.07 1.02




*IMT:数値が小さくなると改善傾向頸動脈の内膜の厚さ(IMT)が1.1mm以上で動脈硬化の可能性。

*CAVI:数値が小さくなると改善傾向。

*ABI:数値が大きくなると改善傾向。1を切ると、動脈硬化の病的な度合いが強い。


治療経過 ①2019/7/25 カウンセリングの約1週間後に検査の上、動脈硬化症の診断、再生医療の適応としては動脈硬化が妥当。診断の当日に脂肪採取。即日、院内細胞培養室にて幹細胞培養、約1か月後に投与予定となる。



②2019/8/20 初回投与

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞 adipose-derived mesenchymal stem cell: ADMSC )投与初回

総投与数 / 1億2700万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

現在膝の痛みはない。足がつるのが気になる。点滴後、腹部・左膝周辺・右膝周辺・右下腿・足先に細胞が回っているのが感じられたとのこと。



③2019/9/24 2回目投与

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)2回目投与

総投与数 / 1億1300万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

3回目以降も希望されるが、少し間隔を伸ばしていこうかと相談があり、3~6か月の間隔をお勧めした。



④2019/10/23 経過観察

以前は杖歩行になるのかと心配があったが、現在の調子は良い。臀部~両下腿にかけての神経痛のようなものも改善している。両足の安定感があり、片脚で跳ねることもできるようになった。快調。今後も継続したい。



⑤2019/11/19 3回目投与 および 検査

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)3回目投与

総投与数 / 1億1200万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

動脈硬化の数値にも一部改善がみられた。


【IMT/CAVI/ABI】





















11月検査結果
IMT(頸動脈超音波検査) Max1.9(-0.4)
Mean 1.1
Max1.3(+0.1)
Mean 1.1
CAVI(動脈の硬さの指標) 8.8 9.0
ABI(下肢動脈の狭窄・閉塞の評価指標) 1.14 1.14




⑥2020/1/21 4回目投与 および 検査

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)4回目投与

総投与数 / 1億2600万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

足関節の動きが良くなった。足が地についている感じ。快調で感激している。肩こりも以前よりは楽になり、徐々に改善している。高いところにも腕を伸ばして物が取れる。



【簡易慢性疼痛評価】

















PI(簡易疼痛評価) 「日常生活の全般的活動行能力、通常の仕事(家事含む)、睡眠、気分・情緒、対人関係、生活を楽しむこと」など全項目が支障ないと回答。
PCS(痛みに対する破局的思考の程度) 0
PDAS(疼痛生活障害評価) 2「ゆっくり走る」「階段の昇降」には少々困難を感じるものの、「腰を曲げて床のものを拾う」「買い物に行く」「友人を訪れる」「バスや電車に乗る」「レストランや喫茶店に行く」「重いものを持って運ぶ」「料理をする、食器洗いをする」「腰を曲げたり伸ばしたりする」「手を伸ばして棚の上から重いものを取る」「体を洗ったり、拭いたりする」「便座に座る、便座から立ち上がる」「ベッドに入る、ベッドから出る」「車のドアを開けたり閉めたりする」「じっと立っている」「平らな地面の上をあるく」「趣味の活動を行う」「先発する」などの18項目に全く困難(苦痛)はないと回答
ADS(不安・抑うつ評価) 4




⑦2020/6/23 5回目投与 および 検査

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)5回目投与

総投与数 / 1億2100万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

庭仕事がストレスなくできる。足のこむら返りが無くなった。元気に過ごせている。治療をずっと継続したい。



11月予定の再生医療6回目投与予定を1か月早めたいとお電話があり10月にくりあげて再予約。



⑧2020/10/9 6回目投与 および 検査

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)6回目投与

総投与数 / 1億1500万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

庭仕事など、ここ数日根を詰めてやってしまったので、右腰から強い張りと膝の痛みがある。投与中の不快症状はなし。投与後、久しぶりの投与なので、頭や、腰、膝などにビンビン体感があるとのこと。左肩から肩甲骨、腰、右つま先にピリピリ感が残る。



【簡易慢性疼痛評価】

















PI(簡易疼痛評価) 断続的に痛みを感じている。
PCS(痛みに対する破局的思考の程度) 0⇒3で「痛みが消えるかどうかずっと気にしている」「他の痛みについて考える」
PDAS(疼痛生活障害評価) 2⇒7「掃除機掛け、庭仕事など家の中の雑用」「腰を伸ばしたり曲げたりする」「手を伸ばして棚の上から重いものを取る」「趣味の活動を行う」など少々困難を感じる動作が多くなっていました。
ADS(不安・抑うつ評価) 4⇒7




⑨2020/12/1 7回目投与 および 検査

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)7回目投与

総投与数 / 1億1200万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

右臀部、膝が痛い。簡易慢性疼痛評価は以下の通り。投与中、気分不良なし。(細胞が)循環しているのが分かる。今左膝に来ている。左にも来ているけれど、右の方が強く感じる。左の肩甲骨にも治療しているように感じるとのこと。投与後、のどがイガイガしたのがすっと取れた。前回もだが、投与中は点滴をしている方の腕が肩にかけて鈍痛がした。今は痛みはなく、大丈夫。




【簡易慢性疼痛評価】

















PI(簡易疼痛評価) 痛みを感じている。
PCS(痛みに対する破局的思考の程度) 0⇒18で「痛みが消えるかどうかずっと気にしている」「もう何もできないと感じる」「痛みは恐ろしく痛みに圧倒されると思う」「これ以上対得られないと感じる」「痛みがひどくなるのではないかと感じる」
PDAS(疼痛生活障害評価) 7⇒16で特に「ゆっくり走る」「重いものを持って運ぶ」など困難だと回答されています。
ADS(不安・抑うつ評価) 7⇒18




⑩2021/2/16 8回目投与

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)8回目投与

総投与数 / 1億1250万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

前回細胞投与後に、右肩が痛くなったのは、右の奥歯が原因(現在治療中)だったとのこと。



⑪2021/4/27 9回目投与

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)9回目投与

総投与数 / 1億1300万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

細胞投与の間隔があくと、右膝の痛みが強くなるとのこと。膝の痛みが強ければ、膝に直接注射で細胞を入れることも可能である旨を説明。年内にあと3回投与のご希望があり、了承、プランニングしていくこととする。本日は点滴からのみの細胞投与。



⑫2021/6/29 10回目投与

ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)10回目投与

総投与数 / 1億400万個

投与法:経静脈的投与(点滴)

「お陰様で調子が良い」とのこと。膝への注射での細胞投与は希望されず、今回も点滴からの細胞投与となった。


治療状況 2か月間で2回の投与で、動脈硬化の指標(IMT等)が一部改善、その後も2か月ごとに3回目4回目、その後約半年後に5回目と投与を継続し、疼痛評価も改善されました。一時は杖歩行になるかと心配されたという膝、臀部から両腿下の神経痛のような痛みも無くなり、日常生活の中で庭仕事などストレスなく動けて快調とのことでした。9月になって再び疼痛を感じるとのことで、前回の再生医療での疼痛改善の実感から、6回目を投与し、現在10回目の投与で再生医療を継続中です。
治療期間 2か月間で2回投与。その後、10回目まで現在継続中。
費用 治療総額:2回投与で150万円(税別)3回目以降投与は1回50万円(税別)
治療のリスク ・採血時:穿刺部疼痛、皮下出血、神経障害
・脂肪採取時:疼痛、感染、皮下出血、硬結、色素沈着
・培養時:培養遅延、汚染
・投与時:注射部痛、灼熱感、発熱、悪心、呼吸症状(血栓症)
・治療後:症状回復遅延、治療効果不足
※但し、適切に治療を遂行すれば重篤な有害事象が生じるリスクは極めて低いと言えます。

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