症例・治療事例CASE

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【がん遺伝子治療】症例(24) 90代男性 胃がん

2025.02.15

<遺伝子治療開始時>

<遺伝子治療3か月後>

ご相談内容 胃体下部type2の診断を受け、他院で腹腔鏡下胃切除を試みたが、膵臓との癒着が強く胃空腸バイパス術となった。高齢のため低用量で化学療法を開始したが、補完医療として遺伝子治療を希望。
治療方針 標準治療を補完する立場で、点滴、局所注射により遺伝子治療を実施。
治療経過 2020年6月
低用量で化学療法も開始しているが
補完医療として遺伝子治療を希望された。
治療開始時の内視鏡所見では巨大な腫瘍が消化管内腔をほぼ閉塞していた。
遺伝子治療は、10Uを1か月に1回の頻度で内視鏡的に遺伝子製剤を直接病変へ局所注射で行う方針。

2020年7月
遺伝子製剤 10Uを 点滴・EGD(上部消化管内視鏡)下にて 2回投与。
投与後、不快感なく、体調良好。

2020年8月~2021年5月 10回(約1か月に1回の間隔)
遺伝子製剤 10Uを 点滴・EGD(上部消化管内視鏡)下にて 10回投与。
 EGDも白苔が消失し周堤の肥厚も縮小傾向あり。ファイバーは十二指腸まで挿入可能になった。
 「遺伝子治療を始めてから体調も良くなっている。化学療法の担当医からコントロールは良好と言われた」と。
 遺伝子治療開始3か月後のEGD(上部消化管内視鏡)の結果、肉眼的にも腫瘍は縮小している。
 食事摂取が良好となり、体調もみるみる改善。
 ご本人、ご家族の体感としても、食欲もありお酒も少しづつ楽しめるようになっていると。

2021年6月
遺伝子製剤 10Uを 点滴・EGD(上部消化管内視鏡)下にて 投与。
 「CT検査で肝転移が指摘された。化学療法は2nd lineに移行する予定。
 食欲の低下あり。排便はどうにか保たれている。」
 今後は1か月毎に20U、2週間毎に10Uなどの遺伝子治療プランもあったが
 治療費負担の問題で決断できず。

2021年8月
 肝転移、原病からの出血あり。
 症状が進行し、在宅医療に移行することとなった。
治療状況 胃がんのステージ4のご高齢(90代)の患者さん。
化学療法を受けているにもかかわらず病状が進行し治療開始時の内視鏡所見では巨大な腫瘍が消化管内腔をほぼ閉塞していた。
内視鏡的に遺伝子製剤を局所注射するなど投与量や投与法を工夫したことにより腫瘍は縮小し食事摂取が良好となり体調もみるみる改善。
しかし(治療費負担などが原因で)治療頻度が落ちた後に症状が進行し在宅医療に移行することになった。
低用量での化学治療に併用して内視鏡所見で遺伝子製剤をこの病変に直接注入することによって肉眼的にも病変がどんどん縮小していったというケース。
治療期間 2020年7月~2021年6月(治療期間1年)
費用 治療総額:計14回の治療で治療費 計6,006,000円。(税込)

※遺伝子製剤の投与量単位(U:unit)について:遺伝子治療製剤の投与ボリュームを表現する際に・Titer(遺伝子を運ぶウイルスベクター粒子の数または感染価)
・ベクターコピー数 などが用いられます。投与量単位(U)は、当院で便宜上設定したもので公的な基準ではありません。具体的には、当院で設定している1Uは1.0×10^8(10の8乗)=1億ベクターコピーに相当します。
治療のリスク 大規模な二重盲検試験が実施されておらず未承認治療です。
注射部の内出血、軽度疼痛、一過性の発熱(37-38℃)など、軽微な副作用がある場合があります。

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