症例・治療事例CASE

がん遺伝子治療その他

【がん遺伝子治療】症例(17)60代男性 下喉頭がん リンパ節転移(再発予防)

2023.04.07

<遺伝子治療開始時>
 右頸部リンパ節腫脹
 長径 18.12mm

<治療後 1年3か月経過時点>
 右頸部リンパ節腫脹
 長径 14.6mm 縮小傾向

ご相談内容 2020年8月近医でリンパ節腫大指摘され、大学病院を受診し、10月に原発不明癌右頸部リンパ節転移に対して右頸部郭清(Ⅱ-Ⅳ)、右口蓋扁桃摘出術実施。
その後、精査で原発が下咽頭癌と判明。
翌年2021年1月~3月まで化学療法、放射線治療。内視鏡・CTでフォロー。
治療後しばらく経過したが再発なし。ただ、1年再発率は80%とのこと。毎回の診療で再発するのを待っているかのような印象を受ける。
再発予防目的で当院の遺伝子治療を検討している。
治療方針 標準治療後の再発予防目的で遺伝子治療を実施する。
治療経過 2022年5月9日 遺伝子治療のカウンセリング
昨年2021年に下喉頭がん(ステージ4)に対して右頸部郭清(Ⅱ-Ⅳ)、右口蓋扁桃摘出術実施。
化学療法、放射線治療を行い、今のところ再発はないが、
再発率が高く不安なため、再発予防の目的で遺伝子治療を希望。
遺伝子治療は、2~3か月に1回5Uを、経静脈投与+経リンパ節投与で計画する。

2022年5月9日 
遺伝子製剤5Uを点滴、右頸部リンパ節にエコー下局所注射にて投与。

2022年8月5日
前回の投与後、副作用なく問題なかったと。食事もとれている。
遺伝子製剤5Uを点滴、右頸部リンパ節にエコー下局所注射にて投与。

2022年11月4日
2022年9月CT検査では特に著変なし。
遺伝子製剤5Uを点滴、右頸部リンパ節にエコー下局所注射にて投与。

2023年2月3日
遺伝子製剤5Uを点滴、右頸部リンパ節にエコー下局所注射にて投与。

2023年3月
CT、内視鏡検査でも明らかな所見はなく、再発は認められなかった。
今後の遺伝子治療の相談あり。
現在下咽頭がん治療後2年経過し問題がないので、
遺伝子治療の治療間隔を延長、以後は半年ごとに変更する。
治療状況 下咽頭癌、リンパ節転移に対して、他院で手術、放射線治療、補助化学療法を実施。
再発率が80%と診断され、再発への不安から予防的に遺伝子治療を希望。
遺伝子治療実施時には、明らかな再発所見とは言えないものの右頸部リンパ節腫脹あり。
遺伝子製剤は、点滴及び右頸部リンパ節注射で送達。
当初1年は3か月毎、2年目以降は半年毎に遺伝子治療を継続中。
遺伝子治療着手後、3年6カ月、右頸部リンパ節腫脹は縮小傾向にある。
明らかな病変の再発増悪なく経過中。
治療期間 2022年5月~2023年2月(1年)継続中
費用 治療総額:計4回の治療で治療費 計 1,210,000円。(税込)

※遺伝子製剤の投与量単位(U:unit)について
遺伝子治療製剤の投与ボリュームを表現する際に
・Titer: 遺伝子を運ぶウイルスベクター粒子の数または感染価
・ベクターコピー数 
などが用いられます。
投与量単位(U)は、当院で便宜上設定したもので公的な基準ではありません。
具体的には、当院で設定している1Uは1.0×10^8(10の8乗)=1億ベクターコピーに相当します。
治療のリスク 大規模な二重盲検試験が実施されておらず未承認治療です。
注射部の内出血、軽度疼痛、一過性の発熱(37-38℃)など、軽微な副作用がある場合があります。

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