症例・治療事例CASE

がん遺伝子治療膵臓がん

【がん遺伝子治療】症例(11)60代女性 膵臓がん 多発性肝転移

2022.12.06

治療前

治療前

<治療開始時>
膵臓がん、多発肝転移に対して化学療法を行う前に遺伝子治療を先行して実施。

治療後

治療後

<治療開始2ヶ月後>
2ヶ月間で100億ベクターコピーの遺伝子製剤を投与したところ、肝転移巣の縮退が顕著に確認された。

ご相談内容 2022年7月に心窩部痛訴えあり、他院にて造影CT、膵体部腫瘍を指摘され、その後急激に肝転移多発を来した。
進行の早いタイプの膵臓がん、ステージⅣに対して9月末から化学療法開始となった。
化学療法では病勢を抑えられないと思うので遺伝子治療の併用を希望する。
治療方針 膵臓がん原発巣及び転移性肝転移に対して遺伝子治療を集中的に実施する。
治療経過 2022年7月
心窩部痛を主訴に近医受診。造影CT検査で膵体部腫瘍を指摘された。
多発性肝転移も伴いステージⅣの診断。
経過中にWBCの顕著な増加をきたし、G-CSF 産生腫瘍が疑われ、予後不良と判断。

他院で9月末より化学療法を開始、それを補完する立場で10月より当院において遺伝子治療に着手。
進行速度が速いタイプの病変なので、遺伝子治療を強力に介入させることとし、当初の1か月で100~200Uの投与を目指した。

2022年10月 
遺伝子製剤 20Uを約1週間ごとに5回投与。
初回は、点滴・局所注射で投与。
2回目以降は、カテーテル・局所注射で投与。
化学治療後、便秘や一過性の発熱及び倦怠感、下肢の浮腫などが発生したが、遺伝子治療では特に副作用は発生せず。

2022年11月3日 
腹痛を主訴に近医で緊急CT実施。
9月末CTと比較して肝転移巣は劇的に縮小していた。腹痛は一過性反応性のもので心配不要だった。
化学療法は副作用を軽減するために標準投与量の80%投与を継続した。11月は投与頻度を減らし、1回20Uを1週間ごとに3回投与。

2022年12月
現在、遺伝子治療を継続中。
治療状況 進行の速い膵体部腫瘍(G-CSF 産生腫瘍疑い)、多発性肝転移(ステージⅣ)の診断。化学療法の開始と共に遺伝子治療を集中的に開始。開始1か月で劇的な病巣の縮小を確認。現在も遺伝子治療を継続中。
治療期間 2022年10月~2022年12月(開始2か月目、継続中)
費用 治療総額:計8回の治療で治療費 計 7,392,000円。(税込)

※遺伝子製剤の投与量単位(U:unit)について
遺伝子治療製剤の投与ボリュームを表現する際に
・Titer: 遺伝子を運ぶウイルスベクター粒子の数または感染価
・ベクターコピー数 
などが用いられます。
投与量単位(U)は、当院で便宜上設定したもので公的な基準ではありません。
具体的には、当院で設定している1Uは1.0×10^8(10の8乗)=1億ベクターコピーに相当します。
治療のリスク 大規模な二重盲検試験が実施されておらず未承認治療です。
注射部の内出血、軽度疼痛、一過性の発熱(37-38℃)など、軽微な副作用がある場合があります。

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