一般的な患者において下肢静脈瘤は深部静脈血栓症の危険因子である
背景
深部静脈血栓症の発症危険因子として下肢静脈瘤がどのように位置づけられるかは議論の余地がある。この研究の目的は、一般臨床において深部静脈血栓症の発症に下肢静脈瘤がどの程度影響するかを確認することである。
患者と方法
観察期間は2008年1月1日から2011年1月1日まで、下肢静脈瘤(ICDコード183.9)と深部静脈血栓症(ICDコード180.1-180.9)の全症例は、ドイツ、ハイデルベルグのCONTENT primary careデータベースに登録されていたものを用いた。下肢静脈瘤と深部静脈血栓症という診断についてはICDコード分類にのみ基づき、正確に診断されているかについては問わなかった。年齢、性別、手術歴、うっ血性心不全、悪性疾患、妊娠、ホルモン療法、呼吸器感染症などを変数として全患者から抽出した。深部静脈血栓症の潜在的危険因子を評価するために多変量二進ロジスティック回帰が用いられた。SAS法「PROC GENMOND」が適宜パラメータ化された。回帰モデルにおいて潜在的な集団効果を注意した。
結果
下肢静脈瘤の患者の中で深部静脈血栓症が認められたのは2357人中132人(5.6%)、下肢静脈瘤のない患者群では80588人中728人(0.9%)だった(p<0.0001)。深部静脈血栓症の発症リスクは、深部静脈血栓症の既往、過去6か月以内の入院歴、悪性疾患そして年齢により増強された。
結論
下肢静脈瘤を有する一般的な患者群においては、下肢静脈瘤と深部静脈血栓症に強い相関があった。下肢静脈瘤の患者に、静脈血栓症の既往、悪性疾患の併発、最近の入退院歴、そしてとりわけこれらが複数認められた際には、医療上、特別の注意が求められる。
ジャーナル
Varicose veins are a risk factor for deep venous thrombosis in general practice patients. Vasa.2012 Sep;41(5):360-5