最先端の下肢静脈瘤治療を受けるにはdoctor-blog

最先端の下肢静脈瘤治療を提供できる医療機関はまだまだ少ないのが現状です。そして最新の治療法に関しては多くの医療機関で経験が少ないのは止むを得ないと思いますが、誤解を招く情報や誇大表現を宣伝文句に使っている医療機関があるようなので注意が必要です。

下肢静脈瘤治療に関する治療法・治療技術の変化は目覚しく、今まで治療に躊躇されていた方々が治療に踏み切るケースが大変増えてきました。下肢静脈瘤は、悩まれる患者さんの数が非常に多いのに対して、患者さんのニーズに対応できる医療機関が少ないのと、一方で、実績が無くてもインターネットなどで誇大広告を掲げる医療機関の情報に患者さんが混乱し、最良の治療を享受できないケースが散見されます。古いレーザーを使用しているにも拘らず先端レーザーを使用しているように誤解を招く情報を流したり、米国の最新の医療を導入しているという宣伝文句で中身が伴わない医療機関などに対するクレームの声が患者さん方から聞かれます。下肢静脈瘤の治療法の進歩は目覚しく、経験豊富なドクターが適切な治療機器で丁寧に治療すれば非常に高い治療効果と治療に対する高い満足度が得られています。折角の良い治療法が、誇大広告や不十分な治療法で提供されて患者さんの誤解を生み、かつ患者さんに不利益が生じるとすれば非常に残念なことです。

下肢静脈瘤はその症状のバリエーションが豊富で、治療が複数回必要なものもありますが、適切なレーザー機器が出現してから、細かいものから大きいものまで殆ど全てのタイプの静脈瘤に外来治療で対応することができるようになりました。しかし静脈瘤はその性質上治療期間がのべ数ヶ月以上必要になることもあり、経験豊富な血管外科医が丁寧に管理しないと治療効果が不十分になる恐れがあります。また、最新の治療法は米国や欧米の機器を用いますが、日本人と欧米人では、体質や皮膚質が大きく異なるので日本人には日本人に最も合った治療法(レーザーの種類・出力)が選択されているかどうかということも重要です。

下肢静脈瘤の症状に応じて使用する先端レーザー機器は異なります。以下に簡単に解説します。

①足首周囲や、太もも、ふくらはぎの周囲など脚のいたるところに発生する赤、青の細かい血管いわゆる網目状、くもの巣状の静脈瘤には、体外照射タイプのロングパルスYAGレーザーやIPL(スーパーフォト)を用います。脚全体を処置する場合は1時間程時間を要します。処置後速やかに帰宅でき生活制限はありません。数回に分けて処置が必要になることがあります。このタイプは硬化療法という注射の治療で対応できる場合もありますが、硬化療法は細かい静脈瘤には不向きなのと処置の後暫く弾性ストッキングをはかなければいけないこと、処置後色素沈着(しみ)や硬いしこりが暫く残ることなどのデメリットがあります。レーザーはこれらのマイナス面を解消した画期的な治療法です。

②ふくらはぎ、膝下から太股にかけてのボコボコとした血管いわゆる伏在型の静脈瘤は、血管内レーザー(エンドレーザー)を用います。エンドレーザーとしてはロングパルスYAGレーザーが優れものです。逆流点の血管の処理をするか、それを省いて簡単な処置のみにとどめるかは、医療機関によって差があるところです。安全で根治性の高い治療法が提供されているかどうかがポイントになります。このタイプの静脈瘤に対する従来からの治療法は病的な血管を取り除く(抜去する)ストリッピング手術と呼ばれるものですが、これは一般病院では入院が必要だったり神経損傷など体へのダメージがレーザーよりも大きくなります。適切なレーザーを用いて適切な血管の処理をすることにより、高い治療効果が得られ、かつ手術後すぐ帰宅でき、術後の生活制限も殆どなく社会復帰することができるようになっています。

以上、症状に応じて複数のレーザー機器を使い分ける必要があり、それぞれのレーザー機器も、程度や人種差、個人差に応じて、臨機応変に設定や手法を変えなければいけません。医療機関によって治療内容や結果に差異が生じる可能性がありますので注意が必要です。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会