先日、癌(がん)・脳卒中・心筋梗塞・認知症などの命に関わり、時に人の尊厳を損なう疾患について講演を行う機会がありました。 日常診療の合間を縫って準備したため、仕上がりには不安が残りましたが、期待以上に反響が良かったのでほっとしています。 講演の中で日本人の死因についての年代別調査に触れました。「癌は国民の2人に1人が発症する。高齢化社会の到来が主たる理由である。」という話は皆さんがよく耳にしていると思います。
しかし、癌で命を落とすのは高齢者よりも40~60歳代の方が多いということはあまり知られていないのではないでしょうか。
ご高齢の方が、癌で命を落とすことももちろんありますが、死因の中で癌が占める割合はそれほど多くありません。
一方で、60歳代では約半分の方が癌で命を落としています。 まだまだ社会の中で活躍できる世代の方々が癌の犠牲になっていることが指摘されます。
癌の診断技術や治療法は飛躍的に進歩していますが、上記のような方々を癌から守るという点で十分機能しているとは言えません。
早期に発見し治療を始めることができれば、癌は乗り越えられる病気になってきましたが、病期が進めば進むほど治療は難しくなります。
診断技術が上がっても、発見した時には既に進行癌や末期癌である、ということは珍しくありません。そのような場合には手術や放射線治療など根治性の高い治療が選択できずに、化学療法や免疫療法で対処することになります。化学療法は分子標的薬などの開発により効果が大きく改善してきましたが、副作用の問題が避けられません。免疫療法は体への負担が少ない点で期待の大きい治療法ですが、効果の体感が十分でないことが多く、かつ費用負担が大きいことが欠点です。
抗がん剤の副作用に耐えて治療を継続している方、通常通りの日常生活は送れていても標準治療は適応外のため緩和治療を待つのみの方、そのような方々から、何か適切な方法がないかという質問をしばしば受けます。
当院で2008年から採択している遺伝子治療は、この様な方々に対して「尊厳を保つがん治療」として提案できるものと考えています。
厳しい副作用がなく、進行癌の方であってもこの遺伝子治療により症状改善の体感が得られていることが多いからです。 この遺伝子治療をしても、命を救えなかった患者さんも確かにいらっしゃいます。
しかし、残されたご親族やご友人から、「この治療を受けて本当に良かった。本人も非常に感謝していた。これからもこの治療を継続してより良い医療の開拓に励んでほしい」というありがたいお言葉をいただく度に、遺伝子治療の質をさらに高めていく決意を固めざるを得ません。
胃癌、肺癌、乳癌、大腸癌など、死因として上位を占める癌が進行した状態であっても、遺伝子治療を継続して日常生活を確保されている数多くの方々や、北海道、東北、近畿、九州圏など遠方から定期的に治療を受けに通われている方々に支えられて、北青山Dクリニックでは癌遺伝子治療(CDC6 RNAi 治療)の提供を継続しています。 進行がんに悩む方のみではなく、癌治療後の再発を抑えたい方、副作用などの身体的負担の少ない癌治療を望まれる方々は、お気軽にご相談していただければ幸いです。