難治がん・進行がんに対するCDC6 RNAi 療法の治療反応例を部位別にまとめたものを以下に示します。症状が増悪の一途を示し、余命1か月程度と宣告されてからCDC6 RNAi 療法を開始した患者さんを対象にしていますが、病状の進行が止まって状態が安定する例が相応にあります。中には病状が快方に向かい、治療をずっと維持できればがんを克服できる可能性を感じる例も出現しています。
これを見て皆さんはどう感じら れるでしょうか。
一般の方々は「期待できるほどの成績ではない」と感じられるかもしれません。
しかし、末期がんの患者さんの一般的な経過や、現在登場している画期的な新薬や治療法を認識している私たち医師から見るとこの成績は驚くほど良好な結果です。巷では、あたかも末期がんを完全に治せる治療であるかのような表現を目にすることがありますが、それは誇張表現で誤解を招くものです。末期がんの治療は現実的には非常に厳しいのです。
末期の胃がん(スキルス胃がん)の50%、膵臓がんの30%の進行をしっかりと抑えることができるというのは、現在の医療レベルでは極めて良好で期待できる治療と言えると思います。もちろん、この成績に満足しているわけではありません。治療成績を向上させる べく、投与方法の見直しや治療薬の改善に常に積極的に取り組んできました。そして今まで何度か治療薬の大幅な改善により治療成績の劇的な向上を実現してきました。さらに、 過去に経験していない革新的な治療薬の改善を今迎えようとしています。CDC6 RNAi 療法の治療効果に最も大きく影響しているのは単位時間当たりの CDC6 shRNAの投与量です 。この投与量を、今までと全く次元が異なるレベルに増量できる手法がこの度考案されました 。そもそも、CDC6 RNAi 療法は、その特徴の一つとして大きな副作用がないことが挙げられます。一過性の発熱が見られることはありますが、化学療法に見られる骨髄抑制、消化器症状、神経障害、免疫失調など生活の質を大きく下げる副作用がありません。極めて大量に投与しても副作用が発生しないことから、安全面の点でも、治療効果の観点でも、 今回の単位投与量の大幅な増量は大変期待されます。 まもなくこの新世代のCDC6 RNAi 療法が開始できる見込みです。進行がん、難治がんに対する治療効果が革新的に向上することを願っています。